あいみょん、KinKi Kids……ルーツミュージックからの影響をオリジナリティに昇華したアーティスト 新譜5作からピップアップ

ゲスの極み乙女。『ストリーミング、CD、レコード』
ゲスの極み乙女。『ストリーミング、CD、レコード』

 『ストリーミング、CD、レコード』というタイトルからはこのバンドらしい批評性を感じるが、本作の最大のポイントは(あらゆるリスニング環境に適応したリリース形態ではなく)、著しい音楽的な深化だろう。2010年代後半以降のR&B、ヒップホップ、ファンクの世界的な潮流とリンクした重心低めのサウンドデザイン、休日課長(Ba)、ちゃんMARI(Key)、ほな・いこか(Dr)によるシンプルにして深みのあるアンサンブル(ギターは少なめ)がとにかく最高。派手な展開やギミックを取り除き、洗練されたリズムのアレンジと抑制の効いたメロディを軸にした、現代的なポップミュージックへと結びつけているのだ。社会の事象に対する直接的な言及を避け、詩的な色合いを帯びた歌詞も聴きどころ。相変わらずの多作ぶりを続けている川谷絵音は、音楽家として確実に前進している。

ゲスの極み乙女。「人生の針」
フレンズ『あくびをすれば』(通常盤)

 結成5周年を迎えたポップバンド、フレンズのニューシングル『あくびをすれば』は、アニメ『ハクション大魔王2020』のエンディングテーマ。軽快なシャッフルビートに乗るのは、カントリー風のテイストを感じさせるサウンド、そして、おかもとえみのナチュラルで心地よいボーカル。“いろいろあるけど、夢を見つけて進んでいこう”という前向きなメッセージにも、ハッピーなポップミュージックを提示し続けるフレンズの個性が溢れている。通常盤には石橋貴明、工藤静香のユニット・Little Kiss「A.S.A.P.」のカバーを収録。以前カバーした「タイミング ~Timing~」(ブラックビスケッツ)と同様、フレンズのルーツである90年代J-POPの名曲だ。

フレンズ「あくびをすれば」 / 読売テレビ・日本テレビ系TVアニメ『ハクション大魔王2020』エンディングテーマ

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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