Official髭男dism、“音楽の楽しさ”で熱狂を生み出すパフォーマンス 躍進の2019年をライブで振り返る

Official髭男dism『Traveler』

 2019年のOfficial髭男dism(以下、ヒゲダン)の躍進は誰もが知るところだろう。テレビをつければ、彼らの曲が流れてくる。バンドシーンが好きな人だけではなく、いろいろな人が彼らの話をしている。年末には『第70回NHK紅白歌合戦』に出場したほか、その後今年に入ってからも、新曲がリリースされたり、新たな動きがあるたびに話題になっている。

 その躍進を支えた要素はいろいろとあるが、ライブもその一つだ。ファンのなかには、ライブを観たことによって、彼らの音楽にさらに深くハマったという人もいるのではないだろうか。ヒゲダンは現在、4本のライブ映像を期間限定で公開している(終了日は未定。追ってアナウンスするとのこと)。そちらを元にライブの魅力を紹介していきたい。

 まずは、フェスの模様から。昨年5月に出演した『METROCK 2019』からは「ノーダウト」の映像が公開された。「ノーダウト」はドラマ『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)主題歌で、バンドのメジャーデビュー曲。特別熱心なファンでなくとも、知っている人の多い曲だ。映像を観てみると、イントロから鍵盤が8分で動き続けるメロディは生では演奏されていないことが分かる。楽曲を印象づけるメロディラインなだけに大胆な采配。全体的に、シンコペーションのリフが打ち出されていて、テンポは音源より若干速い。より疾走感のある演奏、軽やかにノることのできるアレンジになっている。

Official髭男dism - ノーダウト [METROCK 2019]

 9月に出演した『SWEET LOVE SHOWER 2019』からは「宿命」の映像が公開された。ブラスも鳴るイントロでゴージャスに幕を開け、伴奏がフィンガースナップと鍵盤のみの1番Aメロでは、藤原聡(Vo/Pf)が歌唱力を遺憾なく発揮。松浦匡希(Dr)に加え、小笹大輔(Gt)とサポートメンバー1名もタムを叩いている箇所が多く、重心が下にあるようなサウンドが基本となっている。タム類による音程の高低差を利用した、メロディのようなドラムのフィルインが合間合間に挿し込まれているのもポイントだ。この力強いサウンドにロックバンド特有の汗と情熱を感じた人も多いのではないだろうか。昨年『熱闘甲子園』(テレビ朝日系)のテーマソングとして高校球児の夏を彩った「宿命」は、全国各地のフェスラバーにとってのテーマソングにもなったのだった。

Official髭男dism - 宿命 [SWEET LOVE SHOWER 2019]

 12月に出演した『CONUTDOWN JAPAN 19/20』からは「Stand By You」の映像が公開された。バンドが曲間を繋ぐなか、「じゃあ次の曲は、あなたたちの歌と手拍子がないと絶対に成立しない曲です!」と観客に熱く語り掛ける藤原。その言葉通り、この曲のサビでは“表拍での手拍子→倍速での手拍子→ウォーオオオーのシンガロング”という形で観客が参加するのが定番になっている。この光景はヒゲダンのライブを象徴するものといって差し支えないだろう。観客の盛り上がり具合を見ているとまるでワンマンライブのようだ。なお、ここまで紹介した3つの映像は、ホーンセクション+パーカッションをサポートに迎えた編成となっている。すべてがその限りではないが、昨年のヒゲダンはこの編成でフェスに出演することが多かった。

Official髭男dism - Stand By You [COUNT DOWN JAPAN 19/20]

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