19歳の新鋭、Vaundyによる1stアルバム『strobo』がチャート好調 楽曲に滲み出るボーカリストとしての才覚

 そんな歌声を活かした『strobo』は、前述した「Modern Loneliness (Vaundy Remix)」に比べるとより幅広い聴き手に届きうる作品になっており、「僕は今日も」のストリングスアレンジに象徴的なようにJ-POPとして存分に楽しむことができる。サビや間奏のごちゃっとしたサウンドは少し気になる点ではあるが、2010年代以降のネオシティポップマナーを感じる「東京フラッシュ」や物憂げなR&B調の「不可幸力」など、ソングライティングの妙は冴え渡っているし、「東京フラッシュ」のバースでビートの抜き差しとボーカルの効果的な絡み合いをしっかり聴かせるのもさすがだ。

東京フラッシュ / Vaundy :MUSIC VIDEO
不可幸力 / Vaundy :MUSIC VIDEO

 先んじてリリースされた藤井風の1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』は、クセの塊のようなソングライティングを、Tokyo RecordingsのYaffleによるプロデュースで現代的なサウンドに仕上げるバランス感覚が光っていた。『strobe』はエグいほどのクセとは無縁だが、それがたしかなポピュラリティにつながっていて、Vaundyの大きな強みになっている。強いて言うとすれば、Lauvのリミックスのような芯を食ったアレンジとサウンドをもっと聴いてみたいということだろうか。高いポテンシャルを秘めたシンガーソングライターだからこそ、『strobo』にそれがあったらもっと素晴らしかったのではないか。

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