TWICEのコンサートを特別なものにする、アーティストとしての情熱 ドキュメンタリーで見えたワールドツアーの舞台裏

 TWICEの楽曲「ONE IN A MILLION」にはこんな歌詞がある。

“大きな声で叫んでみて/世界でたった一つだけの声で/信じてみて、あなたは特別だということを/one in a million/世界にたった一人だけなんだということを”

「ONE IN A MILLION」

 聴くたびに、彼女たちのパフォーマンスが観客に与える特別な感動を言い得ていると感じるフレーズだ。

 インタビューではサナが「いつもこう考えるんです。“どんな人が客席にいるんだろう?”ステージに立って最初に考えることです」と話し、また本ドキュメンタリーの制作発表会で“最も輝く瞬間”を問われたナヨンが「ステージでONCE(TWICEのファン)の方々を見て公演を行ないながら交感する時、私たちは一番輝きを放ちます」と答えていた。一塊や群衆ではなく個としてファンと向き合い、この瞬間にしか分かち合えない気持ちを尊ぶTWICEのコンサートには、ステージ上にいる9人だけでなく、その場に集まった多くのファンと共に声援を上げる自分のことまで信じてみたくなるような、まさに“ONE IN A MILLION”と形容される気持ちをもたらすエネルギーがある。

「エネルギーがなければ楽しい公演は出来ないし、練習する意味もありません(チェヨン)」

 彼女たちが燃やし続けるアーティストとしての情熱こそ、このエピソードのタイトルにある「息が切れても止まれない理由」そのものとなり、TWICEのコンサートを特別なものにしているのではないだろうかーーそんなことを思った。

 しかしアーティストは人間であり、強い意思だけでその情熱を保つことは不可能ということも事実だ。

 ジヒョは「最近、寝る前に歯を食いしばっています。ストレスや緊張のせいですね」、チェヨンは「体調が気がかりです」と明かしたが、大きなプレッシャーを感じつつ多忙を極めたスケジュールを遂行する彼女たちにとって、心身のコンディションを整え続けることは容易ではないだろう。

 続くEp 6.「サイレン」では、過酷なワールドツアー中におけるメンバーたちの健康面に焦点が当てられる。

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■菅原 史稀
編集者、ライター。1990年生まれ。webメディア等で執筆。映画、ポップカルチャーを文化人類学的観点から考察する。Twitter

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