嵐 松本潤、幅広いキャラクターを演じる緻密な役作り 『99.9-刑事専門弁護士-』『ごくせん』特別編放送を機に考察

幅広い役柄を演じられる所以は、生真面目なまでのこだわり

 これまで松本が演じたドラマの中で難しかった役柄として『スマイル』(TBS系)のフィリピン人の父と日本人の間に生まれたハーフ 早川ビト役が挙げられるだろう。これまでと違い差別や犯罪加害者家族への偏見やマスコミのありかたなどを描いた重い内容でもあり、ファンの間でも賛否両論があったものの、この役柄を丁寧に演じていた。このドラマが俳優・松本潤の大きな転換期であったように思う。その後『ラッキーセブン』(フジテレビ系)では激しいアクションシーンも交えて新人探偵役を好演。また『失恋ショコラティエ』(フジテレビ系)では石原さとみ演じる高橋紗絵子に15歳の頃から片思いをしている天才ショコラティエ小動爽太の揺れ動く気持ちを繊細に演じた。切ないストーリーに加え、石原と松本のビジュアルの美しさも相まってジャニーズファン以外からも大きな話題となった。

 そしてこれまで松本が培ってきた底力と役者としての成長を見せつけられたのが『永遠のニシパ 〜北海道と名付けた男 松浦武四郎〜』(NHK総合)だ。松本は幕末から明治初期にかけ蝦夷地(北海道)の調査・記録に陣尽力し“北海道”という名称の元となる“北加伊道”を提案した探検家・松浦武四郎を演じた。蝦夷地調査をしていく中で、先住民族アイヌとの交流からアイヌ文化の美しさや優しさに共感するも、松前藩のアイヌへの搾取略奪を目の当たりにし、苦悶する主人公・松浦武四郎を真摯に演じた姿に幅広い層から大きな評価が寄せられた。

 俳優としての松本を見たとき、注目したいのは演じるキャラクターが非常に幅広いという点である。自身のイメージと同じ、もしくは真逆のキャラクター以外にも松本はどんな役でも柔軟に対応できている印象だ。松本ならではの完璧を求めるこだわりで、キャラクターを緻密に分析し、構築して演じているからではないだろうか。

 今回の特別編では新たにリモートで収録された出演者からの息の合った掛け合いの特別メッセージが放送される他、ディレクターズカットを再編集しDVD-BOXの音声特典として収録されていた松本、香川、榮倉によるオーディオコメンタリーを副音声として放送。本編とは一味違った3人の息の合ったトークも楽しみのひとつだ。

 また6月3日・10日の2週にわたり松本が生徒役で出演した『ごくせん2002特別編』(日本テレビ系)の放送も決定。現在放送中である同じく嵐の大野智主演『鍵のかかった部屋』が高視聴をマークしているだけに“数字を持つ男”としても知られる松本主演のドラマにも大きな注目が集まりそうだ。

■北村由起
ライター・エディター。出版社勤務、情報誌編集長を経てフリーに。情報誌、webマガジン、ムック等を中心に執筆。ジャニーズウオッチャー。

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