LUNA SEA、DIR EN GREY、MUCC、BAROQUE……オンラインから発信する新たな音楽

 「STAY HOME」が叫ばれ、音楽業界でも自宅で楽しめるコンテンツが浸透しつつある今、V系シーンでも様々なバンドが趣向を凝らし、オンラインから音楽を発信している。その中でも、“音楽を通してファンに希望を与える“といった活動に焦点を当て、いくつかピックアップしたい。

LUNA SEA

LUNA SEA「Make a vow」

 まずは、30周年記念全国ツアー『LUNA SEA 30th Anniversary Tour 2020 -CROSS THE UNIVERSE-』の延期を発表したLUNA SEA。彼らは、急遽新曲「Make a vow」を制作し、4月28日に正式リリースした。

 “誓いを立てる”という意味のタイトルがつけられたこの曲は、 “今がどんなに苦しくとも、希望の光を失わないで“というストレートなメッセージが込められた前向きな歌だ。シンプルでありながらも生き生きとした煌めきが感じられるメロディやサウンドは、発案されてから2週間で完成させたとは思えないほどのクオリティ。しかも、各自が遠隔で音を重ねていくという新たな手法で作られたというから驚きだ。無数の光が飛び交うジャケットも、未来の希望を感じさせるデザインになっており、細部にもLUNA SEAらしいこだわりが感じられる。

 さらに、メンバーそれぞれがスマートフォンでセルフ撮影したというMVも同時に公開。各自宅で私服にラフなヘアスタイルで演奏するという、激レアなショットが見られた。MVのラストでは、それぞれのセルフ撮影画面が、5人のアーティスト写真に変わっていく。その様子は、またいつかこの写真のようにかっこよくキメたLUNA SEAの姿が見られるという、未来の希望を示しているようにも感じられた。

LUNA SEA「Make a vow」MV

DIR EN GREY

 全国ツアー『TOUR20 疎外』を中止したDIR EN GREYは、YouTubeにてメンバー5人が考案したセットリストの音源を5月2日~5月6日の5夜連続でプレミア公開。各日、メンバーの音楽性や個性が存分に発揮されたセットリストが配信された。

 特に京(Vo)が組んだ最終日のセットリストは仕込みが秀逸で、ファンが号泣するほどの名曲「I’ll」が始まる……と思いきや、イントロが終わると、狂気的なシャウト曲「残-ZAN-」に切り替わるというまさかのフェイント。これは、1999年に大阪城ホールで実際に行なわれた伝説の演出を再現したもので、京のニヤリと笑う顔が目に浮かんだファンも多いはずだ。

 配信が終わる度、Twitterは大いに盛り上がり、「#DIRENGREY5DAYS」のタグは5日連続でトレンド入り。セットリストの感想やライブでの思い出を語るファンの声で溢れ、まさに生のライブ後のような興奮が感じられた。映像ではなく音源だけのプレイリストにも関わらず、生のライブと変わらぬ熱を与えたDIR EN GREY。彼らが20年以上にわたって作り続けてきた音楽は、それだけでファンを熱狂させるパワーを持っていることが明らかになったと言えるだろう。また、カリスマ性の塊のような彼らには似つかわしくない言葉かもしれないが、この5日間ばかりは、メンバーとファンの確かな絆が感じられる特別な時間となった。

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