浜崎あゆみが綴る、相手への思いが色濃く表れた歌詞 ドラマ『M 愛すべき人がいて』に反映されたフレーズにも注目
浜崎あゆみは、歌手デビュー以来、ほぼ全ての楽曲の作詞を自身で手がけてきた。そしてその多くが実体験を基にしているという。特に、『M 愛すべき人がいて』で描かれるデビューから一躍トップスターへと上りつめるまでの数年間にリリースした楽曲には、想いを寄せる相手への思いが色濃く反映されており、裏側を知ってしまった今改めて読み返すとどの曲も特定の相手へのラブレターのように見えてくる。しかし、そんな個人的な恋愛体験を綴った楽曲に当時の若者たちの共感が集まったところを見ると、浜崎が紡ぐ言葉そのものに普遍的な力があったことは疑うべくもない。何者でもなかった自分を信じ、力強く導いてくれるプロデューサーと、それに応えるかのように高みへと羽ばたいていった少女。ドラマ『M 愛すべき人がいて』では時代を彩った歌姫の実像とともに、ヒットチャートを総ナメしていた楽曲の背景にも迫っていくことになるだろう。スキャンダラスでぶっ飛んだ演出こそあれ、当時の浜崎がアーティストとひとりの女性の間で苦悩していた姿が描かれれば、改めて楽曲にも光が当たるのは間違いない。
5月9日に放送予定だった4話ではいよいよデビューに向けて一歩を踏み出したアユに、さらなる困難が立ちはだかる……、と予告されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で撮影スケジュールに変更が生じたことを理由に急遽放送延期が決定。代わりに同ドラマの視聴者を代表して伊集院光と社会学者の古市憲寿によるオーディオコメンタリーを加えた第1話の特別編を放送する。初回を見逃し、ネット上の盛り上がりに付いていけなかった人はもちろん、もう一度あの衝撃を体験したい人にも見逃せないものとなりそうだ。
■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。