作詞家zopp「ヒット曲のテクニカル分析」第25回
作詞家 zoppが語る、『野ブタ。』主題歌「青春アミーゴ」制作時の思い出 修二と彰を連想させる“続編曲”についても
続編「逆転レボルシオン」誕生秘話
ーー2017年には「青春アミーゴ」のアンサーソングである「逆転レボルシオン」(『背中越しのチャンス』に収録)がリリースされましたよね。この楽曲が生まれた背景もお聞かせください。
zopp:「逆転レボルシオン」の作詞を依頼された時点では「青春アミーゴ」の続編というコンセプトはなかったんです。ただ、せっかく彼らがもう一度歌うのであれば続編を作りたいと思いました。山下さんのソロ曲(「抱いてセニョリータ」「口づけでアディオス」)で修二と彰の物語は進んでいたので、今度は二人が再会する瞬間を描いたら面白いのではないかと考えました。とはいえ、初稿の段階ではもっとふわっとさせていたんです。そしたら亀梨さんから「青春アミーゴ」にもっと寄せたいと提案があって、修二と彰のキーとなるワードは全て取り入れて最終的にあのような歌詞になりました。
ーーそうだったんですね。実際に亀梨さんと山下さんにお会いしたことはありますか?
zopp:山下さんとは何度かお会いしてますね。「抱いてセニョリータ」を制作している時は、直接会って、彼の提案も取り入れながら歌詞を練っていきました。〈セニョリータ〉というワードも山下さんからの提案です。亀梨さんに関しては、KAT-TUNに楽曲提供する機会がないのでまだお会いしたことはないですね。でも、「青春アミーゴ」をご自身でアレンジしながら舞台で歌ったりしてくださっていたので嬉しかったですね。
ーー『野ブタ。をプロデュース』特別編では「青春アミーゴ」2020Ver.もオンエアされましたがいかがでしたか?
zopp:彼らも30代になって技術的な面でも歌唱力が上がっていると思うので、ニュアンスのつけ方も自分たちで消化しながら歌っているんだろうなと思います。まだ放送されたワンコーラスしか聴けていないので大きな変化は感じませんでしたが、早くフルで聴きたいですね。特に平歌部分はセリフ調になっているので、どのようなニュアンスをつけているのか気になります。
ーーまたお二人の曲を作詞したいと考えることはありますか?
zopp:亀梨さんと山下さんもそれぞれやりたい曲があると思うので、彼らが望んでくれたらまたやらせていただきたいです。「逆転レボルシオン」以降もストーリーはいくらでも作れるので。最近のジャニーズ楽曲はより洗練されたサウンドが増えていますが、もし僕が手がけるのであればまた「青春アミーゴ」のような歌謡曲調のようなものにしたいですね。
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