ジョバンニ・ミラバッシが語る、宮崎駿&久石譲から受け継ぐジブリ音楽のDNA「ビル・エヴァンスと同じように私の一部になった」

ジョバンニ・ミラバッシが語る、宮崎駿&久石譲から受け継ぐジブリ音楽のDNA「ビル・エヴァンスと同じように私の一部になった」

 1970年にイタリアのペルージャで生まれ、20代からパリを拠点に音楽活動を展開しているジョバンニ・ミラバッシは、ヨーロッパのジャズシーンを代表するピアニストの一人。ローマ生まれのエンリコ・ピエラヌンツィを敬愛し、クラシック界の巨匠アルド・チッコリーニにピアノの手ほどきを受けている彼は、フランスの主たるジャズ賞を総なめにした俊英である。

 日本でも2001年に澤野工房からリリースしたソロピアノ作『AVANTI!』でジャズアルバムとしては異例の10万枚以上の好セールスを上げ、一躍その名を浸透させた。また宮崎駿のファンとしても知られ、2015年にジブリ作品を中心に収録したカバー集『アニメッシ~天空の城ラピュタ ほか~』は幅広い層から注目を集める人気アルバムに。そして、2019年12月18日には、同じくジブリの楽曲をピアノトリオでカバーした『MITAKA CALLING -三鷹の呼聲-』をリリースしたばかりだ。

ジブリ作品との出会いと音楽家としての影響

 イタリアやフランスは、日本アニメの熱狂的な愛好者が多い国として有名だが、その背景には1970年代後半に欧州のテレビ局が日本から輸入した大量のアニメ作品を放送し、一般家庭で子どもたちが普通に視聴できた時代があったことも大きいと思われる。当時、高視聴率の人気番組だった『UFOロボ グレンダイザー』に夢中だったというミラバッシもまさにその世代だ。

「7〜8歳だった私たちは、日本がどこにあるのかもよくわかっていなかったのですが、イタリア版でも、エンディング曲はささきいさおが歌うオリジナルが使われていたので、歌詞を覚えて一緒に歌っていましたよ(笑)。ロボット、最恐のエイリアン、クレイジーな戦闘、そのすべてが大好きでした。マストだったのは、Actarus(※主人公デューク・フリードこと宇門大介の海外版での名前)が武器を使う前にその名を呼ぶこと。校庭では、みんな“スペースサンダー!!!”とか“ダイザービーム!!!”ってよく叫んでいたものです」

 その後、彼は映画『風の谷のナウシカ』と出会い、宮崎駿作品を追いかけるようになる。

「おそらく1980年代の中頃でした。テレビを付けるとちょうど『風の谷のナウシカ』が始まったところで、そばを通った父も惹きつけられてしまって、一緒に観ました。そして二人とも、この名作にすっかり心を奪われてしまったのです。それから宮崎監督の映画をたくさん観るようになって、私のイマジネーションは彼によって(そしてもちろん音楽を担当されていた久石譲さんによっても)育まれ、ショパンやビル・エヴァンスと同じように私の一部になったのです」

 『風の谷のナウシカ』との運命的な出会いが、彼の現在の音楽人生にも深く影響を与えている。そのほかジブリ作品において好きな作品はなにかと問いかけると、悩みながらも次のように答えてくれた。

「やはり『風の谷のナウシカ』がナンバーワン。ストーリーがとても深くて聡明で、本当に何もかもが素晴らしい。この映画に出会ったことが、私の複雑な少年時代で最良の出来事とさえ言えるかもしれません。今もナウシカが宮崎監督の作品でいちばん好きなキャラクターです。ただ、その後を選ぶのは難しいですね(笑)。『紅の豚』も『千と千尋の神隠し』も『ハウルの動く城』も『天空の城ラピュタ』も『もののけ姫』も……みんな愛していますから!」

 アルバム『アニメッシ~天空の城ラピュタ ほか~』をリリースした2015年の来日ツアーでは、宮崎駿と念願の対面も果たし、彼にとって特別な思い出となったようだ。

「日本の聴衆はいつも私の音楽を繊細に受け止めてくれるのですが、この年のツアーでは、私の方もみなさんの中にいる“内なる子ども”に向けて演奏しているような気持ちになっていました。しかも三鷹の近くで演奏した時、何と宮崎監督が近しいスタッフと一緒に聴きに来て下さったのです! そこにはあの加藤登紀子さんもいました。そして演奏後にお二人で私の楽屋までいらして、とても美しくて大きな花束をいただいたのです。本当に夢のようでした、正直、今でも信じられません(笑)」

 宮崎駿もミラバッシのファンでクリエイター/アーティストとして相思相愛の関係性だった。

「監督は本当に魅力的な人でしたね。お会いして、自分が宮崎作品の登場人物になったように感じてしまいました。その上、私のファンだとおっしゃったんです! もうとんでもないことですよね? 後日私をアトリエに招いてくださり、そこで演奏する機会を持てたことも一生の思い出です」

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