クラムボン ミト×Q-MHz 黒須克彦がベーシスト視点で語る、アニソン制作の現在 「いい意味で“カオス”になっている」

クラムボン ミト×Q-MHz 黒須克彦がベーシスト視点で語る、アニソン制作の現在 「いい意味で“カオス”になっている」

 クラムボン・ミトによる、一線で活躍するアーティストからその活動を支えるスタッフ、エンジニアまで、音楽に携わる様々な”玄人”とミトによるディープな対話を届ける対談連載『アジテーター・トークス』。今回は、作編曲家でベーシストの黒須克彦との対談をお届けする。

 様々なアーティストのサポートベーシストとして活躍しつつ、アイドルからJ-POP、アニソンまで数多くの楽曲提供を行ってきた黒須。さらに作詞家の畑亜貴やUNISON SQUARE GARDENの田淵智也らと共に、プロデュースチームQ-MHzを結成するなど、日本の音楽シーンに多方面から深く関わってきた彼は、ここ10年の潮流をどう見ているのだろうか。同じベーシストということで「ベース談義」に花を咲かせつつ、多岐にわたるトピックについてざっくばらんに語り合ってもらった。(黒田隆憲)

この10年で作家にスポットが当たるようになってきた

【左から】クラムボン・ミト、黒須克彦

ミト:最初に私たちが会ったのは、黒須くんがサポートでベースを弾いていたメグさん(meg rock)のライブの打ち上げでしたよね。あれは確か2010年になったばかりだったと思います。僕はアニソン作家としての活動をスタートしたばかりで、他の作家さんがどんな活動をしているのか色々掘っていた時期だったので、その過程でもちろん黒須くんの名前も知っていたし、メグさん周りのプレーヤーたちがどんな活動をしていたのかも予め調べていました。私がアニソン作家周りの人たちと会うようになったのも、多分その頃からだったと思います。

黒須克彦(以下、黒須):覚えています。メグちゃんは作家活動をしつつアーティスト活動も積極的に行うスタンスの方だったので、様々な交流の場を僕に設けてくれた貴重な存在でした。彼女はとてもオープンで、周囲にはいつも作家やアーティストなど、様々な業界の人たちが混じり合っていて。メグちゃんが、僕の交友関係を広げてくれたと言っても過言ではないですね。

ミト:彼女が「ハブ」であったことは間違いないですよね。僕自身の初のソロ作『DAWNS』(2011年)でも、メグさんが歌詞を書いてくれていますし、その時も本当に気兼ねなく、「うん、やるやる!」という感じで引き受けてくれたのを覚えています。考えてみれば、今は作家同士のネットワークってだいぶカジュアルに広がっていますよね。それこそLINEでグループを組んで連絡を取り合ったり、交流会やワークショップを開いたりしてる。僕が作家を始めた頃は、ひたすら家にこもって作業ばかりしていたので(笑)、なんだか不思議な感じがします。

黒須:奇しくもその10年の間に、作家やクリエーターに以前よりもスポットが当たるようになってきたというか。それこそミトさんのような、表現者としてステージに立っていた人がどんどん作家としての活動も始めるようになりましたよね。それで僕らにも光が当たりやすくなったところはあると思います。

ミト:黒須くんの仕事で、やはり筆頭にあげられるのは「夢をかなえてドラえもん」(2007年)ですよね。あの巨大コンテンツ『ドラえもん』がリニューアルし、その新しい主題歌を同世代の作家が書いていることは本当に衝撃的でした。時代の転換期をリアルに感じたというか。変わらないと思っていたものが変わっていく、その現場に近しい人がいるということですからね。もちろん、他の作品もたくさん知っていたし、アニソン周りや作家業周りを掘っていけば必ずぶち当たる人だったんですけど。

 今考えてみると、2007年、2008年はアニソン周りでは色んなことが急激に変化していた気がします。同じ時期のJ-POPシーンを振り返ってみると、よりそう思う。神前暁さんがアニメ『らき☆すた』のオープニングテーマ、「もってけ!セーラーふく」をリリースしたのも2007年ですし、アニソン周辺で活躍するクリエーターたちが、この頃からシーンを席巻し始めたのはある意味では必然だったのかもしれない。ちなみに黒須くんがアイドル楽曲を手がけるようになったのは、『ドラえもん』の後?

黒須:後ですね。乃木坂46の「ぐるぐるカーテン」をリリースされたのが2012年だから、5年くらいインターバルがあります。それまでは基本的にアニソン周りが中心で、少しずつJ-POPフィールドにも軸足を置くようになっていった時期ですね。

ミト:黒須くんの楽曲は、ベースラインにも特徴がありますよね。例えば僕は、サポートベーシストとして黒須くんの楽曲をライブで演奏することが時々あるんですけど、8小節くらい弾いたところで「あ、これ黒須くんの曲だな」ってクレジットを見なくても分かる。

黒須:(笑)。それはやっぱり、スタイルだったりルーツ的なものだったりするんでしょうかね。曲作りの段階では、そこまでベースのことを考えていないんですけど。

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