Lead、アルバム『SINGULARITY』で臨んだ音楽的挑戦「僕らならではの“特異点”を出し続けていきたい」

Lead、アルバム『SINGULARITY』で臨んだ音楽的挑戦「僕らならではの“特異点”を出し続けていきたい」

 2002年のデビューからダンス&ボーカルグループとして着実にキャリアを重ね、近年はミュージカルや舞台でも活躍するなど、その活動に多彩さと深みを加えているLead。約1年半ぶりにリリースされるニューアルバム『SINGULARITY』(直訳すると“特異点”の意味)には、サウンド面の要といえる鍵本輝が手がけた楽曲など、実験性と円熟味を絶妙なバランスで掛け合わせた楽曲が並ぶ。彼らが今どのようなモードで制作に臨んでいるのかが垣間見えるような、楽曲たちを巡るエピソードトークを楽しんでもらいたい。【インタビュー最後にプレゼント情報あり】(古知屋ジュン)

これまで経験してきたこと、学んできたことが詰まった1枚

――「過去の自分たちを超える作品に」というのが今回のアルバムコンセプトだそうですね。

鍵本輝(以下、鍵本):常に考えてきたテーマではあります。普段からライブについても「去年のツアーを超えていこう」という思いで向き合って作っていますし、そういう思いを今回はあえてタイトルにした感じですね。

――ストレートに今の皆さんのモチベーションの高さを反映したような?

谷内伸也(以下、谷内):そうですね。例えば4月からスタートするファンクラブツアー『Leaders Party』のサブタイトルを、今回は「BREAKTHROUGH」(“限界突破”)にしたんですよ。その“限界突破”を超える意味を持つタイトルをここに持ってきて「今までの自分たちの最高を超えよう」というところから制作が走り出した感じでした。

――全体を聴かせていただいて、Leadのデビュー当時からの流れの中で楽曲にもいろんな方向性があったじゃないですか。アッパーなEDMもあれば聴かせるバラードもあるし、遊び心の強いヒップホップテイストの曲もあって。その旨みの部分を1枚にギュッと凝縮したような感覚がありました。ベスト盤っぽい感じといいますか。

古屋敬多(以下、古屋):嬉しい。

鍵本:確かに“これまでの集大成”と言うとありきたりな言葉になっちゃいますけど、これまで経験してきたこと、学んできたことがこの1枚にかなり詰まっているなと思います。楽曲作り、レコーディングに対するスタンスもそうですし、今の状態でできること全てを詰め込んではいますね。

――あとから詳しく聞いていきますが、全体の感触としてみなさんそれぞれのボーカルが劇的に変わった印象がありました。歌い回しや発声の部分に新鮮さがあって。

谷内:サウンドにもかなり振り幅があるので、バラエティ豊かな曲の表情にのる形で変化を出せた部分があるかもしれないです。曲に込められたメッセージを感じながら、歌を歌うというよりも語るというか、喋るような感覚ですかね。

――あとこのアルバムからということではなく、近年の作品はサウンドの厚み、深みというか、音像のふくよかさみたいなものがぐっと増しましたよね。

鍵本:そうですね、ここ最近の作品では顕著だとは思います。

谷内:ただ制作スタイルとしてはこれまでと変わらずミックスにも立ち会わせてもらって、エンジニアさんに一つひとつ、気になった部分を伝えたりしながら仕上げてもらいました。

――ではここから新録曲を中心に聞いていきます。輝さん作曲のインスト曲「Regularity://」に続けてタイトル曲の「シンギュラリティ」がきて。〈「今」を超えたいんだ〉というまさにアルバムのテーマ的な言葉たちやデジタルロック的なサウンドも含めて、すごく重厚感がありますね。

谷内:この曲はラフミックスが上がってきた状態で「めちゃくちゃヤバいな!」という印象で、かなりテンションが上がりましたね。

鍵本:1音1音の圧がすごいし、それなのにその音同士が潰し合わないという。サウンド的にクオリティがすごいなと思います。

――そんなエネルギッシュな曲からスタートして、今やライブの定番として親しまれているアッパーな「Be the NAKED」(アニメ『火ノ丸相撲』オープニング曲)を挟んでエモーショナルなラブソング「Depend On Me」へ。この曲はちょっと意外というか、いい意味でLeadっぽくないイメージがありました。ご本人たち的にはいかがでしたか?

鍵本:最後の最後にデモが上がってきた曲なんですよ。ディレクターさんがずっと隠し持っていて「もう1曲、枠あるぜ?」って言うから「いいのないですか?」って聞いたら「あるよ、これどう?」みたいな。

――お店で裏メニュー出してくれたみたいな(笑)。

鍵本:でもみんなその裏メニューに一目惚れして「この曲やりましょうよ!」って。J-POP的でキレイな美メロなのにトラックは今っぽいUSポップ風で、そのバランスがすごくよかった。

古屋:かっこよくて、かつ良い曲だし、3人とも完全にやられましたよね。

「Depend On Me」

――曲はスウェーデンのクリエイターのエリック・リボムさんと作詞も担当された辻村有記さんのコライト(共作)で、他の曲も海外の作家さんと日本の作家さんでコラボしたパターンが多いですね。

谷内:いろんなクリエイターさんの合わせ技で、高揚感のあるダンスミュージックでありつつ歌詞では寄り添ってくれる素晴らしい作品になりました。生々しく感情が揺さぶられるような歌詞でもあるので、個人的にもすごく好きですね。

鍵本:Leadのレパートリーにこういう曲が欲しいとはずっと思っていました。前作の『MILESTONE』で言うと「Tell Me Why」も、メロディは日本のマーケット寄りなのにサウンド的にはしっかりダンスを切り口にしたサウンドだったりしましたけれども。

――敬多さんのささやくような歌い回しも新鮮でした。

古屋:あんまり歌として捉えてないですかね、この曲に関しては。セリフを言う感覚に近いというか……そういう意味では僕らの中でも新しかったです。エアリー(息を多めにする)な感じで歌って、その声を何重にも重ねたりするような手法も取っていて。でも個人的にインパクトがあったのは、繊細だけども強さのある歌詞ですね。そういう歌詞を大事に素直に歌いたいなと思って、レコーディングに向き合っていました。

――昨年は輝さんと一緒にミュージカル『イノサン』にも出演されましたが、セリフのように歌うというのは、舞台の影響もあったりしますか?

古屋:ありましたね、確かに。そっちの引き出しに近いけれども、伝えるより聴かせる方にやや重きをおいた感じです。

――なるほど。「Summer Vacation」は去年の夏リリースのシングルのタイトル曲ですが、さらっと聴けるようでいて多彩なサウンドを組み合わせていたり(DA PUMPの「U.S.A.」などを手掛けた)shungo.さんの韻踏みまくりの歌詞にもクセがあって、“沼ポイント”が多いですね。

Summer Vacation / Lead【Music Video】

谷内:アルバムの流れで聞くとシングルとはまた全然違う印象で、ダンスミュージック色が強く聴こえる感じがしますね。手前の「Depend On Me」もサウンド的にトラップの要素が強いので、この流れもまた気持ちいいなと思います。

――続く「Seasons」が、このアルバムの中で個人的に一番意外性が強かった楽曲です。みなさんの歌い回しや発声の部分も含めてライブで再現している絵がちょっと思い浮かばないくらい、いい意味でLeadっぽくなくて。

谷内:確かにこの中ではそうかもしれないですね。スタッフさんにも言われました(笑)。僕の友達のtossyっていう子が作ってくれた曲なんですけど。ちなみにこれの仮歌を、後輩のBuZZのU-SAYが歌ってくれていて。それもそれでまたいい味があって、素敵なんですよ。

――そのバージョンも聴きたかったですね。歌声の感触の違いが出た理由をご本人たちはどう考えているんですか?

古屋:この曲だけスタジオが違って、高音をすごくいい感じに拾ってくれるマイクを使ったんですよ。楽曲やこの曲での歌とも相性がよくて「マイク選びって大事なんだな」という発見もありました。そういう、物理的なミラクルもあって。

鍵本:意外な感じもありますけど、それがいいエッセンスになったんじゃないですかね。最後に録った曲なんですけど、いい外しになっているなと思います。

谷内:2番のAメロ部分だけちょっと歌詞を変えたくて、ここだけ歌詞やサウンドが変化球になっているのがポイントです。

――〈変わらないと誓った~景色を跨いで〉の部分ですね。

谷内:ここだけ一気にビートを抜いて、ちょっとデジタルな要素も入れた形ですね。違うエッセンスを入れて、いい意味で違和感にしたいなと思って。輝にレコーディングの時に言われて気づいたんですけど「最後のフレーズの〈景色を跨いで〉に次のフレーズの〈Spring to the summer〉を被せる形で次の人にリレーしていくのが、歌詞とリンクしてて気持ちいいな」って。

鍵本:歌詞で景色をまたいだついでに小節もまたいでいくという(笑)。そういう遊びもアリだなと。

――そこにも注目しつつじっくり聴いてほしいですよね。次の「Milk Tea」はアルバムのティザー映像にも使われて話題になっていた楽曲ですね。

Milk Tea / Lead【9th Album Teaser】

谷内:実は「サンセット・リフレイン」の撮影タイミングで一緒に短い映像を撮って、公開したら思った以上にLeadersからいい反応をもらえたんですよ。

――作詞の7chi子♪さんはLead楽曲ではおなじみの作家さんですね。

谷内:これまでの歌詞も含めてですけど、7chi子♪さんの詞ってなんだかすごく、キュンとするんですよね。

鍵本:この「Milk Tea」に関してはデモを聴いた段階からピンと来ていたこともあって「7chi子♪さんでお願いします!」と、熱烈オファーをさせてもらいました。

――夏目漱石がかつて「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したのは有名ですが、それをもう1回英訳して〈The moon is beautiful〉とした感情の匂わせ方とか、日本語と英語の組み合わせ方にセンスを感じます。サウンド的にもすごく温かい感じで。Leadの過去のアルバム曲ともイメージ的にちょっと重なる部分がありそうな。

鍵本:シンプルに僕らがこういうサウンドが好きってのもありますけども。

谷内:こういうフューチャーベース系のエッセンスが入っている曲は好きですね。

「Milk Tea」

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