氣志團やNUMBER GIRLを“発掘”した加茂啓太郎に聞く、いまアイドルを手がける理由

加茂啓太郎が“アイドル”手がける理由

「“アイドルは音楽として格下”という認識はまだある」

ーーYouTubeはもちろん、音楽もストリーミング配信が登場したことで、新しい作品を知っていくスピード感も、この10年ほどで激変したなと感じます。その辺りを含め、加茂さんがフィロソフィーのダンスを通してチャレンジしてみようと思うことはありますか?

加茂:現状、アイドルはなんでもありのフィールドなので。半年連続でリミックスを出したり、半年連続アナログ盤を出したり、楽曲のステムデータを配信してみたり。ストリーミングサービスが浸透してアナログも復権してきているからこそ、そういう状況を楽しみながら面白いことはできているなと思っています。

先日リリースされたリミックスアルバム『SAPIOSEXUAL』では、ヒャダインやFPM、パソコン音楽クラブなどをリミキサーとして起用した

 あと、フィロソフィーのダンスの場合は“哲学”という軸を、作詞を手がけるヤマモトショウくんにより出せているのも大きいですね。彼は東大の文学部哲学科を出ていて、オーディションから来てくれている存在です。彼に言わせれば、すべての歌詞には哲学があるはずだし、無い歌詞なんてありえない、と話します。アイドルソングの大半は、十代の女の子の淡い恋心というのがほとんどかもしれませんが、もっと別の奥行きを出したいなとは常に考えていますね。

ーーファンやリスナーの層を見ていて、加茂さんとしてはどのように感じているでしょうか。届いてほしいところには届き始めているな、と感じますか?

加茂:とはいえ、やはり壁はなかなか厚いですね! アイドルだからという理由で聴かない人も、扱わないメディアもやっぱり多いです。先日のフィロソフィーの新木場スタジオコーストでのライブは、J-WAVEが協賛についてくれました。J-WAVEとしてはアイドルのライブの協賛につくのは初めてだったとのことで、壁がひとつこわれた感じはします。別にこちらからゴリ押したわけではなかったので、たまたまではあるでしょうが、音楽的に気に入ってくれたのなら嬉しいですけれど(笑)。

ーー “アイドルである”ということで、聴いてもらうためのハードルが一気に上がってしまう現状はまだあるわけですね。

加茂:“アイドルは音楽として格下である”っていう認識はまだありますよね。でも、ストリーミングで音楽を聴くと、ジャンルも関係ないし、自分で詞曲を作っているかも関係ないわけです。もう“曲がいいかどうか”だけだから。そういう意味で、フィロソフィーのダンスはこれからの時代にフィットしている音楽のスタイルになると思っていますけどね。ちなみにフィロソフィーの楽曲については、新しいという人もいれば懐かしいという人もいて。それが面白いですよね。長くソウルバーを経営しているような方達にもいいねと言ってもらえるようになってきているし、若い人たちにとっては新しい音楽に感じられるのでしょうから。

ーーフィロソフィーのダンスにどのようになっていってもらいたい、という希望はありますか?

加茂:いろいろ話してきましたけれど、結局のところ僕はミュージックマンとしては、究極、ヒットソングを作りたいだけなので。その一因となる“紅白に出る”“万人が知るところとなる”“エバーグリーンになる”曲を作りたいし、アイドルをプロデュースするのは、そういう曲を作り世に送る方法として、いま一番適している、という理由からです。あとは、自分が「最高だな!」と思うものを世の中に問うてみたい、というのも大きなモチベーションですね。

 もちろん、アーティストの楽曲はあくまでアーティストのもの。でも今プロデューサーとしては「こういう歌詞、こういうアレンジにしよう」とディレクションして作っていくから、自分でゼロから作っていける達成感は強く感じているんです。「ダンスファウンダー」も「これはいい曲だな!」と思っていたら、それなりに反響があったのでとても嬉しかったです。もちろんまだまだここからではありますが!

ーーメジャーデビューのタイミングなので、それを記念して新しいアレンジにすることもできそうですね。

加茂:そうですね。先人がやっていないことをやってみて、それが成功するとすごく面白いじゃないですか。僕の仕事のポリシーなんですが、誰もやっていないことを思いついて一番はじめにやりたいんです。それはもうずっと。わりとみんなセオリーから外れたがらないですけど、そういう挑戦は今後もどんどんしてみたいところです。

フィロソフィーのダンス 1st Official Book『U Got The Look』

■商品情報
フィロソフィーのダンス 1st Official Book『U Got The Look』
判型:A4
ページ数:128P
価格:3,200円+税
発売日:2020年2月28日(金)
発行・発売:株式会社blueprint

〈ディスコグラフィーライター陣〉
栗原裕一郎、サエキけんぞう、柴那典、高橋芳朗、南波一海、ピロスエ、藤井陽一、ふくりゅう、まつもとたくお、宗像明将

〈メイキングDVDキャンペーン〉
写真集についている応募券で、抽選で200名様に特別メイキングDVDをプレゼント。

〈収録コンテンツ〉
・メンバー全員のグラビア
・メンバーソログラビア
・メンバー同士が舞台裏を撮影した”バックステージショット”
・ソロロングインタビュー
・1×1クロストーク
・ディスコグラフィー
・メンバーによる“ベスト・フォー”企画
・加茂啓太郎氏インタビュー
など 

■関連リンク
フィロソフィーのダンス公式HP
フィロソフィーのダンス公式Twitter

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