『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』サウンドトラックレビュー 注目フィメール・アーティストたちが彩る“悪VS悪”のカオスな戦い
ジョーカーの”元カノ"、ハーレイ・クインの活躍を描いたDC映画最新作『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』が、3月20日に公開。それに先立ち本作のサウンドトラックが、2月14日から配信、そして国内盤が3月4日から発売され話題となっている。
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』は、DCコミックスに登場する犯罪者(スーパーヴィラン)たちを描くシリーズ『スーサイド・スクワッド』の同名実写映画で、「バットマン」シリーズに登場するハーレイ・クインを主役に据えたコミック『バーズ・オブ・プレイ』が原作。『スーサイド・スクワッド』のその後を描いた作品で、映画ではハーレイを演じたマーゴット・ロビーが引き続き主演を務めている。すでに本国アメリカでは公開されており、映画評価サイト・Rotten Tomatoesでは『ジョーカー』を超える満足度92%を記録(2月5日)した。
恋人ジョーカーと破局したハーレイ・クインは、その痛手からハチャメチャな生活を送っていた。が、ある意味ジョーカーの「支配」の下にいた彼女は、そこから開放されたことによって自由奔放さに拍車がかかり、ヴィランとしての魅力もさらに増している。そんなある日、謎のダイヤを盗んだアジア人の女の子カサンドラ・ケインと出会い、彼女の命を狙う残忍な男ブラックマスク(ユアン・マクレガー)との全面対決へと巻き込まれていく。「男社会」の中で搾取され続けている万年ヒラ刑事レニー・モントーヤ、マフィア一家に生まれた秘密の過去を持つ殺し屋ハントレス、ブラックマスクに囚われた不思議なパワーの持ち主である歌姫ブラック・キャナリー。そんな、一癖も二癖もあるメンツとタッグを組み、カサンドラを守るためにブラックマスクと「悪VS悪」のカオスな戦いが繰り広げられる、というストーリーだ。
「音楽はこの映画の中でもとても重要なパートなの。だから新進気鋭のフィメール・アーティストたちを大集結させる必要があったの」
『スーサイド・スクワッド』が出世作となり、本作でも最高にキュートかつ凶悪な魅力を振りまくマーゴット・ロビーがそうコメントを寄せているように、オープニングからエンディングまで全編にわたってフィメール・アーティストの楽曲が爆音で鳴り響く。サントラからはすでに19歳の若きシンガーソングライター、シャーロット・ローレンスによる「ジョークス・オン・ユー」、ミーガン・ザ・スタリオンとノーマニという人気ラッパー2人による強力なコラボ「ダイヤモンズ」、TikTokでのバズりも記憶に新しいドージャ・キャットの「ボス・ビッチ」、そして人気ラッパーのスウィーティーとエレクトロポップ・シーンの新鋭GALXARAがタッグを組んだ「スウェイ・ウィズ・ミー」という4曲のMVを随時公開してきた。
「ダイヤモンズ」のMVは、ブラックマスクとの最後の決戦となる遊園地のアトラクション「ブービートラップ」を舞台に撮影されており、随所に映画の名場面をミックス。力強い高速ラップを繰り出す迫力満点のミーガン・ザ・スタリオンによるパフォーマンスと、Fifth Harmonyのメンバーで、昨年8月にソロデビューを果たしたノーマニによる艶かしくもどこか透明感溢れる歌声が、不穏かつヘヴィなトラックの上で絡み合うこの曲は、〈Diamonds are a girl's best friend〉のリフレインが一度聴くと耳から離れなくなる。
また「スウェイ・ウィズ・ミー」のMVには、物語のキーになる少女カサンドラ・ケイン役を演じたエラ・ジェイ・バスコが登場し、同曲が流れる映画のワンシーンを再現。この曲は、チップ・モンクを施したスウィーティーのラップとGALXARAの作り上げるエキセントリックなエレクトロビートが、どこかエキゾティックな仕上がりだ。
サントラには収録されていないが、ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツによる失恋ソング「I Hate Myself for Loving You」が、ハーレイとジョーカーの破局の経緯を描くシーンで使用され、〈I’m not really jealous, don’t like lookin’ like a clown〉(嫉妬なんかじゃない、ピエロみたいに見られたくなんかない)という歌詞が見事にシンクロしていたり、ジェームス・ブラウンの「IT's A Man's Man's Man's World」(「なんでも生み出す男は偉い。だけど、そんな男を産む女はもっと偉い」という歌詞)を、ブラックマスクに囲われた黒人女性であるブラック・キャナリーがカバーしていたり(二重のアイロニー!)、映画のストーリーと楽曲の関係性に注目すると、さらに楽しめる作りになっている。ちなみに最後の決戦では、80年代に一世を風靡したフィメールバンドの草分け的存在、Heartの「Barracuda」がかかるのも胸熱だ。
サントラには他にもジャンルを越境するシンガーソングライターのホールジーや、<Ultra>からデビューしたエレクトロポップデュオのソフィー・タッカー、ネクストブレイク必至のR&Bシンガーであるサマー・ウォーカーらの楽曲も収録されており、今最も注目を集めるフィメール・アーティストの「ショーケース」としても必須の1枚だ。
■リリース情報
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY:ザ・アルバム』
発売:2020年3月4日(水)
歌詞、歌詞対訳付き
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配信
『Birds of Prey: The Album』
配信日:2020年2月7日(金)
1.ドージャ・キャット 「ボス・ビッチ」
2.ホイップクリーム(feat.ベイビー・ゴス)「ソー・シック」
3.ミーガン・ザ・スタリオン&ノーマニ 「ダイヤモンズ」
4.スウィーティー&GALXARA 「スウェイ・ウィズ・ミー」
5.シャーロット・ローレンス 「ジョークス・オン・ユー」
6.メイシー・ピーターズ 「スマイル」
7.CYN 「ロンリー・ガン」
8.ホールジー 「エクスペリメント・オン・ミー」
9.Jucee Froot 「デンジャー」
10.K・フレイ 「バッド・メモリー」
11.ソフィー・タッカー 「フィーリング・グッド」
12.ローレン・ハウレギ 「インヴィジブル・チェーンズ」
13.ブラック・キャナリー「イッツ・ア・マンズ・マンズ・マンズ・ワールド」
14. サマー・ウォーカー「アイム・ゴナ・ラヴ・ユー・ジャスト・ア・リトル・モア・ベイビー」
15.ADONA 「ヒット・ミー・ウィズ・ユア・ベスト・ショット」
■映画情報
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
公開日:2020年3月20日(金)
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト