DracoVirgo、ハイカラ時代から変わらぬ音楽への思い ステージ上で示すバンドのアイデンティティ

DracoVirgoが貫く音楽への思い

 元HIGH and MIGHTY COLOR(以下、ハイカラ)のメンバー3人によるミクスチャーロックプロジェクトのDracoVirgoが、東名阪ツアー『Opportunity 2020~Rainbow Butterfly~』を開催。1月25日に東京・渋谷WWWで開催されたファイナルでは、1stアルバム『Opportunity』に収録の全24曲を披露したほか、ゲストに元ハイカラのメンバーのユウスケとMEGが登場してハイカラのメジャーデビュー15周年を祝うと共に、DracoVirgoとしての躍進を印象づけるステージになった。

変幻自在に聴かせたMAAKIIIのボーカル

 DracoVirgoは、元HIGH and MIGHTY COLORのメンバーMAAKIII(VOCAL)、mACKAz (BASS)、SASSY(DRUMS)の3人によって2017年に結成。MAAKIIIのソロアルバム『兎に角、ジェネシス!!!!!』のDracoVirgo versionを含む全24曲の2枚組1stアルバム『Opportunity』を、1月15日にリリースしたばかりだ。このツアーはそのアルバムのリリースを記念して開催されたもので、アルバムに収録の全24曲をすべて演奏することが事前に告知されていてファンの間で話題になっていた。

 そんなアルバムについて「1stアルバムは高カロリー、高タンパク、高品質」と評したMAAKIII。ライブはアルバムと同じく「Rainbow Butterfly」でスタートし、WWWでやっていることが不思議に思うくらいスケールが大きく、完成されたステージで観客を圧倒した。

 ダンスとヘヴィロックが融合した楽曲を、次々と繰り出した序盤。四つ打ちのビートとサイケデリックな雰囲気が相まって、会場はまるで竜宮城のディスコのようなダンス空間へと変貌した。MAAKIIIの合掌ポーズから、天女のように妖艶に舞いながら歌った「KALMA」。人気アプリゲーム『Fate/Grand Order』のテーマソングとして、毛蟹 feat. DracoVirgo名義で発表し、iTunesで1位を獲得した「清廉なるHeretics」では、MAAKIIIがエモーショナルなボーカルを聴かせ、それに触発されるようにリズム隊の二人が分厚い音でプレイを響かせる。また「DASH!脱出!奪取!」では、MAAKIIIがロボットダンスのような動きを繰り出すと、観客がそれをマネて一緒に踊って会場が早くも一体となった。

 MAAKIIIのボーカルは、ハイカラ時代からさらに増して圧倒的な存在感を発揮していた。「阿弥陀の糸」では絶叫とも呼べるようなシャウトで観客を引きつけ、展開の多い「FLY」では、髪を振り乱すようにしながら、ノドが張り裂けびそうなほどのパワーを込めた歌声で観客を圧倒する。後半にはチャイナドレス風の衣装も披露し、観客が手で×を作って踊った「××××」では、〈チョメチョメチョメチョメ〉と、声色もユーモアたっぷり。また、途中でレゲエに展開する構成も楽しい「いーじゃんっ!」では、キュートな歌声も聴かせるなど、まさしく変幻自在といったボーカルで観客を魅了した。

 アニメ『ありふれた職業で世界最強』のEDテーマとして話題を集めたバラード「ハジメノウタ」は、「みんなに愛を込めて歌います」と紹介して歌い、会場を感動的な空間に変身させた。ステージの後ろには同アニメのキャラクター=ユエが月に願う様子が描かれた、アニメ盤ジャケットのイラストが映し出され、サビではミラーボールが回り、会場をキラキラとした光が埋め尽くす。その中でMAAKIIIは、聴く者を優しく抱きしめるような温かく優しい歌声を聴かせて、歓声と拍手が沸き起こった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる