ジェネイ・アイコ、チャーリー・ウィルソン、K・ミシェル……愛に溢れたR&Bの話題作をピックアップ

・Jhené Aiko「P*$$Y FAIRY (OTW)」
・Charlie Wilson「Forever Valentine」
・K. Michelle『All Monsters Are Human』
・Luke James『To Feel Love/d』
・Syleena Johnson『Woman』

 ロマンティック=R&B。安易なようだけど間違いじゃないのは、愛を伝えるのに一役も二役も担ってくれる、ピュアで実用的な音楽こそがR&Bだから。今回特集する新譜は実に女性に優しい、もしくは女性の視点が大いに反映された作品たち(常にそうあるべきなのですが……)。5作をそれぞれ掘っていくと、どうしてもたどり着いてしまうのがR・ケリーというのは何とも切ない皮肉だけれど、ここにあるのは音楽を届ける相手にも真摯に向き合った、ノーバイオレンスな愛の歌。バレンタインは過ぎてしまったけれど、せわしない日々のそばにロマンティックなR&B、オススメです。

アリーヤを思い出さずにはいられない?! ジェネイ・アイコの官能的な新曲
「P*$$Y FAIRY (OTW)」

Jhené Aiko「P*$$Y FAIRY (OTW)」

 声はか細いのに芯は太く、スイートなのに実にリアリスティック。ケンドリック・ラマーやスクールボーイ・Qら<TDE>のラッパー勢をはじめ、ストリートから絶大な人気を誇るのがジェネイ・アイコだ。最近ではサウィーティーのヒット曲「My Type」のリミックスでナスティーなラップを披露したり、サマー・ウォーカーとのデュエットや、Netflix『リズム+フロー』へのゲスト出演など各方面から引っ張りだこ。新曲の「P*$$Y FAIRY (OTW)」は、そんな彼女のエキゾチックな魅力が全開の仕上がりとなった。

 プロデュースを手がけたのは、アイコの前作『Trip』の楽曲や、向井太一、Awichなどの制作にも関わっているキーボーディストのLeJKeys。楽曲はもとより、MV中でも90年代後半~2000年代初期をオマージュしたダンスをフィーチャーしており、その姿に多くの人が晩年のアリーヤを重ね合わすことだろう。本名から名付けられている待望の3rdアルバム『Chilombo』は3月6日に発売予定だ。

 またR&Bサイドと並行して、瞑想を目的とした楽曲「Trigger Protection Mantra」を発表し、ヒーリング音楽のプロジェクトも進行中のアイコ。プライベートでは元カレのビッグ・ショーンと少しずつ距離を戻しており、今年のバレンタインはふたりでディズニーランドで過ごした模様。彼女の周りには、穏やかで刺激的な空気がいつも漂っている。

Jhené Aiko – P*$$Y FAIRY (OTW)
Jhené Aiko – Wisdome.LA

ブルーノ・マーズが共作! 御大チャーリー・ウィルソンのニューアンセム
「Forever Valentine」

Charlie Wilson「Forever Valentine」

 The Gap Band時代から約50年に渡り、女性たちをメロメロにしてきたアンクル・チャーリー。US国内での絶大な人気っぷりは、2000年の本格的なソロ活動以降、チャートアクションもさることながら、アルバムが出るごとにブラックコミュニティでのアンセムが生まれているのが最大の証だろう。

 前作『In It To Win It』より2年ぶりとなる新曲は、『24K Magic World Tour』での共演で交流を深めたブルーノ・マーズとの共作だが、無論、彼もチャーリーの音楽に影響されてきたわけで、皆が望むチャーリー像は完璧に把握済み。同じくプロデューサーとして名を連ねたThe StereotypesとD・マイルの手腕も光る、どこまでもドリーミーなステッパーソングとなった。(ステッパー : 1970年代にシカゴで発祥したソーシャルダンス音楽。R・ケリー「Step In The Name Of Love」などが代表的。シカゴ・ステッパーズも呼ばれる)

 曲中では、チャーリーのシグネチャーとも言える〈ウー・ウィー!〉〈シャバダバ・トゥイ・トゥイ・トゥイ〉のフレーズがコール&レスポンスとして用いられ、MVではパーティーの定番ラインダンスであるエレクトリックスライドを踊る場面もアリ。これまた大合唱必至の結婚式アンセムとなることだろう。年代や人種を超えて、すべての愛を祝福してくれるようなチャーリーの歌は、私たちにとって永遠のバレンタインギフトだ。

Charlie Wilson – Forever Valentine (Official Video)

もう誰の後ろも追いかけない! K・ミシェル覚悟の再出発作
『All Monsters Are Human』 

K. Michelle『All Monsters Are Human』

 メンフィス州出身の歌姫K・ミシェルが古巣<Atlantic Records>を離れ、3年ぶり5枚目となるアルバム『All Monsters Are Human』を<eOne>よりリリース。直球で情熱的な歌声とキャラクターで、デビュー当時からメアリー・J.ブライジのフォロワーとして認知されてきたが(本人もメアリーが自身のアイドルと公言)、前レーベルではその偉大な影に悩まされていたよう。アルバムの冒頭曲「Just Like Jay」内で「<Atlantic>を離れた理由は、彼らが私にメアリー“J”になって欲しかったから。でもずっと考えていたわ。じゃあ、いったい“K”は誰なの? って。」とその心境を赤裸々に歌い、自身のアイデンティティを模索した数年間を明らかにしている。

 かくして新天地でクリエイティブコントロールを手中におさめた彼女。当初は以前よりプランしていたカントリーアルバムになる予定だったが(前述の「Just Like Jay」からその雰囲気は少しうかがえる)、同郷のレジェンドであるジャジー・フェイが手がけ、New Edition「Can You Stand The Rain」をサンプリングした先行カット「The Rain」をはじめ、結果的には80年代の香りが漂う極めて濃厚なR&B盤となった。爽快なアップナンバー「Love On Me」に、パワーバラード「I Don’t like You」など、どれもシングルカットできそうな強力曲がズラリ。中でも、クイーン・ナイジャの近作などをプロデュースしているリル・ロニーが携わった5曲はどれも見事な出来栄えだ。どぎついジャケットでひるむべからず! もっと日本でも騒がれてほしい新生“K”のスタートである。

K. Michelle – JUST LIKE JAY (Official Video)
K. Michelle – THE RAIN (Official Video)

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