V6「All For You」はグルーヴがポイント? YOSHIEが手がける振付の“凄み”を解説

 V6の新曲「All For You」がじわじわと話題を呼んでいる。同曲は、6月5日発売の51作目となる両Aシングル『ある日願いが叶ったんだ / All For You』に収録。ストレートであたたかな愛情が綴られた「ある日願いが叶ったんだ」とは対照的に、トロピカルハウスなトラックを効かせたクールな楽曲となっている。楽曲提供したのは、覆面ユニット・AmPmだ。また、「All For You」が音楽番組などで披露されると、楽曲のクオリティの高さとともにパフォーマンスもSNSを中心に話題となった。

 とは言ってもその振付には、見てすぐに覚えられるような派手な動作はない。エネルギッシュでキャッチーな動きを見せるというよりも、“静”と“動”をはっきりと区別したような細やかな動きが特徴的だ。けれども、しばらく見ているうちに自然と気持ちが高まり、何度も見たくなるような中毒性が含まれている。振付を担当したのは、これまでもV6の楽曲で振付を務めたことがあるYOSHIEだ。そこで本稿では、同曲における振付の“凄み”に迫るべく、ダンサーのYacheemi氏に話を聞いた。

「YOSHIEさんの振付のキーワードは、なんといっても“グルーヴ”だと思います。昨今の振付は一糸乱れぬほど揃っているものか、見ている人が一緒に踊れるキャッチーなものがトレンドですが、YOSHIEさんの振付はそういったものとは角度が異なっています。一箇所の見せ場だけではなく全ての流れに意味とストーリー性があり、踊っている人がグルーヴし高揚していくことによって、見ている側も自然と高揚していくんです。

 「All For You」で特徴的なのはトラックだけになるサビ部分。ここでは、ジャジーな振付だったAメロ/Bメロから一転、リズムダンスに切り替わります。

 YOSHIEさんの真骨頂とも言えるソウルダンス(アメリカのソウルミュージックに合わせて生まれた、黒人カルチャー発祥のパーティーダンス)のステップが用いられた、まさにグルーヴ満載の振付です。しかし、これがどう見ても難しい。歌詞がないサビをダンスだけで魅せること自体がとてもチャレンジングなことですが、さらに難易度の高いリズムダンスを持ってくるところが、YOSHIEさんらしいなと思いました。

 特に、サビの踊りのポイントとして挙げられるのが、前半部分で使われている「ブレイクダウン」という動き。体幹をうまく使わないと軸がずれてしまう、ストリートダンスで誰しもが最初につまずく動きの代表です。

 そして、ステップで立ち位置を変えた後のサビ後半部分。たるみのあるアップのリズムをキープしながら、体を部分的に動かしていくアイソレーションが同時進行で行われています。これは、「All For You」の中でも一番難しい振付でしょう。16小節もあるサビの間、リズムが途切れることなく続いています。視聴者の方たちが、一緒に踊っていなくてもグルーヴを感じる理由は、そこにあるのではないでしょうか」

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる