超歌手・大森靖子を形作る“カワイイ”とは何か MVやアートワーク、楽曲、衣装から考察

大森靖子『絶対彼女 feat. 道重さゆみ(2CD+DVD)』

 そして楽曲。彼女の初期曲であり、代表曲の「絶対彼女」。昨年、道重さゆみとコラボしたことでも話題となったこの曲だが、改めて聴いてもいい曲だ。“女の子”であることの醍醐味も、だからこその諦めも絶望も詰まっていて、それら全部含めて〈絶対女の子 絶対女の子がいいな 〉と歌う。私たちは、セーラームーンにもプリキュアにもなれないし、魔法も使えないことを早いうちに知ってしまう。白馬の王子様だってそういないことに気付いてしまうし、結婚やら出産やら“女の子”ならではの役割を年齢で判断されたり、まあまあハードモードなのだ。そんなしがらみがあっても、どうせなら“女の子”としての人生を楽しんだ方が絶対楽しい。そういうマインドをちょっぴりスパイスを効かせて曲にする。他にも、アップアップガールズ(2)「世界で一番かわいいアイドル」の〈女の子だもん 世界で一番じゃなきゃ意味ないんだな かぶんない世界一探してたら ギネスみたいになっちゃうかもだけど〉という歌詞や、道重さゆみの「EIGAをみてよ」の〈かわいいはかっこいいよりかっこいいってわかんないなら黙ってて〉という歌詞など、提供楽曲においても”カワイイマインド”のスパイスが散りばめられている。さらに、ベスト盤では、弾き語りで再録された「魔法が使えないなら」、「ハンドメイドホーム」、大沢伸一(MONDO GROSSO)がリミックスを担当した「PINK」、東京スカパラダイスオーケストラがサウンドプロデュースし、フルメンバーでレコーディングした「絶対絶望絶好調」、インディーズ時代の代表曲「音楽を捨てよ、そして音楽へ」が収録。厳選された44曲は、これから”大森靖子”に出会う人たちのの教科書的な役割になるだろう。

大森靖子『絶対彼女 feat. 道重さゆみ』(MV)
大森靖子「音楽を捨てよ、そして音楽へ」at ARABAKI ROCK FEST.16

 と、ここまで熱量多めで振り返ってみたが、大森靖子の創り上げる世界観や’”無双モード”には”カワイイ”が絶対条件で、切っても切り離せないものだということがわかる。年齢に関係なく、母でも妻でも“カワイイ”を貫き通し、自分の生き様を表現し続ける『大森靖子』をこの先もずっと見ていたい。いくつになっても『大森靖子』は、ピンクを身に纏い“カワイイ”を全肯定して生きて欲しいのだ。“カワイイ”を貫くことで救われるすべての人たちへ、「君も可愛く生きててね」。



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