韓国芸能界との向き合い方、ネクストトレンド、人気グループの秘訣……2020年代のK-POPを考える

DJ泡沫×NICE73が語る、K-POPの展望【後編】

カッコ良すぎても難しい? 人気グループになる意外な秘訣

NICE73:特に男性グループに言えるのですが、このまま歌詞の幅が広がらないとダメな気がします。ソロアーティストとかはすごく良い詞だなと思いますけど。グループは、ビジュアルやサウンドがカッコ良くても、歌詞を見ると普通というか、ナヨっとした男の子の歌なんですよね。社会が今そういう男性像を求めてるからかもしれないですけど、そういう歌詞か、以前からあるような歌詞のどちらかしかないのが残念ですよね。

DJ泡沫:WINNERのミノは、男性アイドルソロの中では歌詞に個性があって面白いですね。“空港にファンが来て写真を撮られるのが憂鬱”みたいな歌詞で話題になったり叩かれたりしてましたが、今の韓国のアイドルってそのくらいのことも言いづらい環境なんだなと思いましたが。

NICE73:もうちょっと自由度をあげて欲しいですね。でも“プデュ”の一件でオーディション番組が下火になったことで、各事務所がやっと本腰を入れて男性グループを作ろうという流れにはなってきていると思います。

――では、お二人が2020年に注目しているグループを教えてください。

DJ泡沫:新人は、今のところは『YG宝石箱』(編集部注:YG所属の練習生を対象にしたオーディション番組)からTREASUREがデビューするかも、くらいでしょうか。SMも新人デビュー予定だそうですが。日本デビューだとStray Kids、TOMORROW X TOGETHERとか。

NICE73:個人的にはATEEZかな。最近はビジュアルが良い、曲が良い、ダンスが良いって正直普通になってきていて。でも人間って面白いもので、どこか1個「ん?」と引っかかるところがないと、グッとこなかったりする。ATEEZにはそれがあるんです。

DJ泡沫:ビジュアルを超えたところ、キャラや関係性でハマると、“沼”というか熱狂的で離れない人が多いですよね。人気グループはそういうファンが多いんだと思います。全員カッコ良すぎても難しいというのが不思議な話ですが。

NICE73:THE BOYZやNCTがEXOほど大衆的な人気を得られていない理由もそこにあるのかな。

DJ泡沫:NCTはメンバーを固定しないユニット方式が難しいのもあるかと。その中でもDREAMが人気なのは、卒業はあったけど今のところメンバーを固定して活動しているからじゃないかな?

NICE73:NCTは曲が最高に良いですよね。音楽に携わっている人たちも「ヤバイ、カッコ良い!」と感動したと思います。それに加えてビジュアルのレベルも高くて、ダンスもうまい。でも、一般のリスナーにとっては、今までの先輩たちにあったポップで、誰でも覚えられる曲や、バラエティ番組などお茶の間で見られる機会がなかった。高級感で売りすぎてしまったのかもしれません。すごく人気はあるけど、韓国の知り合いたちに話を聞いたらメンバーが誰が誰だかわからない、とも言っていました。

DJ泡沫:SHINeeくらいまではアイドルの数が少なかったし、人気のあるアイドルはそのままお茶の間でも浸透していた。でもEXOくらいからアイドルの数が増えて、アイドルファンの人口も世界規模で増えたから、一般層は知らなくてもアイドルファンの間では人気があるというグループも売れるようになってきました。だから、今は一般人からすると、グループ名は知っているけどメンバーは知らないというパターンが多いですよね。BTSですら、メンバー個人の認知度はグループ人気に比べるとそんなに高くないと思います。ただ、女性グループはTWICEがブレイクしたこと でお茶の間にもアイドルが1回戻ってきた。Wanna OneやIZ*ONEのメンバーがお茶の間に知られたのも、サバイバル番組の効能だと思うんですよね。日本は“1億総マニア ”時代になっていますが、韓国もそうなってきている感じがします。前は学生時代でアイドルファンを卒業するケースがほとんどでしたが、今はどんどん大人のファンも増えていますから。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる