Royal Scandalは誰もが輝ける場所を提供するユニットだ 『WONDER TOUR』東京公演を観て

Royal Scandal『WONDER TOUR』を観て

 2014年の結成以降、童話をモチーフに音楽と映像によるシリーズ作品を展開してきた、luz、奏音69、RAHWIAの3人によるクリエイターユニット・Royal Scandal。彼らが満を持して2019年12月18日にリリースした1stメジャーアルバム『Q&A -Queen and Alice-』は、これまでの作品に新たなストーリーが織り込まれた、いわば集大成のような仕上がり。12月からは、アルバムリリースに伴った全国ツアー『WONDER TOUR 2019 -QUEEN & ALICE-』を開催。今回は、そのうちの12月27日Zepp Tokyo公演【夜の部】の模様をレポートする。

 「Wondertale」のイントロを背景に流れたナレーションは、luz、奏音69、RAHWIAが“とある不思議の国にいる魔法使い”という設定のもとで進行。3人の手によって、いよいよRoyal Scandalの『Q&A -Queen and Alice-』が完成させられるかと思いきや、急に現れた童話の魔女が、そのなかに登場するプリンセスの名前をどこかに隠してしまう。そこで、3人は完成に欠かせないプリンセスの名前を探しに、ゲストである“あなた”を招いて旅へ出ることにーー。

 ステージには、時計や、舞踏会の入口を再現した舞台セットが置かれている。鳴り出した鐘の音色から、「午前0時、さあ、お立ちください」との語りが続くと、立ち上がるゲストたち。開幕を告げたのは、オペラチックな「ワンスアポンアタイム」。これまで暗闇だったステージに光が交わり、豪華絢爛たる衣装を纏ったRoyal Scandalが登場した。直立不動の姿勢で、艶やかな歌声を奏でるluzが保っているのは、紛れもなく王の風格である。〈♠ポデル=♥アモル=♣フェリス=♦リケサ〉のフレーズでは、瞬時に照明のカラーが移り変わることで、これから始まるストーリーの豪儀を訴えていく。

 間を置かずに続いた「ロイヤルフラッシュ」は、これまでのRoyal Scandalの楽曲群にある歌詞が凝縮された、集大成の意を成すもの。ミラーボールが壁一面に映し出した、燦爛としていて幻想的な空間は、まるで舞踏会のよう。途中、奏音69もボーカルで参加した「ビタースウィート」では、ステージに設置された3つのうちの中央のお立ち台に足を掛けながら、〈“迎えに来た”〉とluzが甘美な声で囁く場面も。“ここでは誰もが輝く”とする「ハッピーアンバースデイ」を経て、静寂と暗闇が沈滞した「光」へ。

 luzがステージを後にすると、奏音69が「ネクロの花嫁」をソロでお披露目。華やかな歌声と全身で感情を表現する、エンターテインメント性あるパフォーマンスでゲストを魅了した。ここから、Royal Scandalは、ボーカルを務めるluzだけでなく、誰もが輝ける場所を提供するユニットであることが分かる。

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