解散発表のE-girlsが迎えたアーティストとしての成熟 「シンデレラフィット」ダンス動画から個々のスキルを解説

 また、ボーカル3人がパフォーマーと遜色なく踊っているのも、現在のE-girlsの大きな特徴だ。メインパートを歌う鷲尾伶菜は、そのスウィートなイメージを良い意味で覆すアクティブなダンスを見せて、ラップもできる藤井夏恋は一つに結んだ長い黒髪を効果的に使い、妖艶で女性的な動きを披露する。この曲で最も運動量の多い武部柚那は、11人体制になってから誰よりもマルチな能力を発揮したメンバーで、その多才ぶりをダンスでも見せつけている。

 11人体制のE-girlsは、すでにグループとしてのアイデンティティを確立し、そのパフォーマンスを徹底的に極めているのである。解散の報は本当に残念ではあるが、彼女たちが次のステージに進みたいと感じるのは自然なことで、この完成されたダンスを見れば納得するほかない。何より、彼女たちが自らの意思でそう決めたのだから、ファンとしてはその意思を尊重したい。

 グループ解散後は、佐藤晴美、坂東希、石井杏奈、山口乃々華はそれぞれ役者やモデル業、Happinessは新たに<88rising>とタッグを組んで本格的に世界進出を目指し、武部柚那はアフロジャックが世界8都市で開催したオーディション合格メンバーと新たなユニットを結成、鷲尾伶菜はソロアーティストとしてデビューするとのこと。メンバー全員、ちゃんと次の目標を見据えているのだ。

 アジアンカルチャーを掲げて世界を席巻する<88rising>が、E.G.familyの中でも特にストリート色が強く、独創的なダンスミュージックを確立しているHappinessとタッグを組むのには期待しかない。それに、万能選手の武部柚那がAfrojackプロデュースの多国籍グループに参加するのもクールである。音楽制作にも強い関心を抱いていた鷲尾伶菜が、ソロでどんな楽曲を生み出すのかも興味深いし、佐藤晴美、坂東希、石井杏奈、山口乃々華の女優/モデル組も、きっとそれぞれの分野で大いに活躍するに違いない。

 E-girlsの意思を継ぐ次世代グループも、着実に成長している。EXPG STUDIOの卒業生から成る新生ガールズパフォーマンスグループのGirls²は、E-girlsに憧れ、その背中を見て育ってきた、まさに妹分といえる存在だ。高いダンススキルを持つ彼女たちは、いずれE-girlsに負けないくらい素晴らしいグループになっていくはずだ。

 リーダーの佐藤晴美は、解散発表の際に「2020年いっぱいはまだまだ活動も続きます。この1年でE-girlsを全うして、いただいた愛をしっかり返していける1年にできればと思います」と宣言している。彼女たちが解散するまであと一年、まずは今夜の『MUSIC STATION ウルトラ SUPER LIVE 2019』で、その洗練されたパフォーマンスをぜひ細部まで鑑賞してみてほしい。

(文=松田広宣)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる