いきものがかり、倉木麻衣、miwa、山本彩……最新作で表現の幅を広げる女性ボーカリストの歌声

miwa『Storyteller/ティーンエイジドリーム』(通常盤)

 2020年のデビュー10周年へのキックオフを告げる両A面シングル『Storyteller/ティーンエイジドリーム』は、彼女自身のポジティブな思いを込めた楽曲を収録。「Storyteller」は、尖りまくったギターサウンド、アグレッシブに突き進むビート、強い意思を感じさせるボーカルがぶつかり合うアッパーチューン。“私という物語の主人公”として、人生を主体的に選び、前向きに生きていきたいという願いを刻んだ歌詞もインパクト十分だ。TVアニメーション『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』オープニングテーマとして制作された「ティーンエイジドリーム」は、爽やかさ、切なさをたっぷり含んだ旋律、“自分らしくいたい”“大切な人を守りたい”というピュアな感情を綴った歌詞を軸にしたポップナンバー。聴く者の感情を自然に引き上げてくれるボーカルからは、前進を続ける彼女自身の現在のモードが真っ直ぐに伝わってくる。初回盤のボーナストラックには、NHK FM『miwaのミューズノート』スタジオライブの音源(武部聡志のピアノとmiwaの歌によるライブ)を収録。

miwa 『ティーンエイジドリーム』Music Video
山本彩『α』(通常盤)

 2018年11月にNMB48を卒業した山本彩。2019年2月に行われたソロライブツアー『I’m ready』、4月に発売された1stシングル『イチリンソウ』によってソロアーティストとしての本格的に始動した山本彩。全曲の作詞・作曲を手がけたニューアルバム『α』には、シンガーソングライターとしての表現力と、ポップアーティストとしての魅力がバランスよく体現されている。大木伸夫(ACIDMAN)、Kai Takahashi(LUCKY TAPES)、亀田誠治、小林武史、トオミヨウといったプロデューサー陣とのコラボによる多彩なサウンドも魅力的だが、本作の中心を担っているのはやはり彼女が紡ぎ出す言葉とメロディ。“自分と向き合いながら、その先に進む”というメッセージが伝わる「TRUE BLUE」、〈私の歩く道は いつだって君の元へと続いている〉というフレーズが印象的なラブソング「Homeward」をはじめ、彼女自身の感情がしっかり感じられることこそが本作の最大の魅力だろう。

山本彩「TRUE BLUE」Music Video (2019.12.25 ニューアルバム「α」Release!!)

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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