DJ RYOW、MVで広がるアルバム『DREAMS AND NIGHTMARES』の楽しみ方 監督の言葉とともに紐解く
20年以上のキャリアを誇り、国内HIP HOPシーンにおいて重要なポジションを担うDJ RYOW。10月に発売したニューアルバム『DREAMS AND NIGHTMARES』は、iTunes/Apple Musicのジャンル別チャートで1位を獲得。総勢24名の豪華客演陣が参加したことでも話題の作品となっている。
そんな同作は収録される14曲全てのMVを制作し、世界的にも珍しい動画アルバムとしても配信されている。そこで今回リアルサウンドでは、彼の代表曲「all green feat. 唾奇」を手がけ、今作では「RUNUP feat. AKLO」「夢から醒めても feat. Jinmenusagi」を担当した國枝真太朗氏と、「博徒2020 feat.“E”qual, SOCKS, ¥ELLOW BUCKS, AK-69, 般若, 孫GONG, R-指定」等7曲を手がけたWhite House Filmsを代表しEgawa Tomoya氏へのメールインタビューを交え、今回の試みやDJ RYOWの作品における映像作品の魅力、重要性を探った。
國枝氏曰く、DJ RYOWは「一緒に制作する人間の意見をとても尊重する」タイプだという。実は今回公開されたMVではDJ RYOWがカメオ出演し、ゲストをフィーチャーする内容になっている。國枝氏は「良い意味で自分勝手にというスタンスでやっています」とも語ってくれたが、シンプルにレコーディング風景を映した「RUNUP」、衝撃的なストーリーが展開される「夢から醒めても」と彼が手がけたMVは、まさに自由に楽曲を表現したMVばかりだ。自身のアイデアの源について「違和感とか分からないモノとか引っかかりやすいかもしれません」と教えてくれたが、この“違和感”は國枝氏のMVやDJ RYOWの楽曲に共通するように思う。スタイリッシュなサウンドと耳に残るフック、パッと目を引く洒脱さとどこか不思議な雰囲気。そこがマッチしているからこそ、國枝氏のMVは最大限に楽曲の魅力を伝えているのだろう。
また近年、SNSの発展などの影響もあり、音楽シーンにおいても映像作品の重要性はさらに増している。そんな環境において、全曲MV制作や動画アルバム配信という取り組みはある意味必然なのかもしれない。Egawa氏は「MVはあくまで援護射撃的なポジション」としながら、「作り手としては、ネタの新鮮さや、どこで差をつけるか等に気を使うことが増えましたね」と制作上でのポイントを語る。今後はフルCGや街の一区画、大掛かりなセットを使った撮影、より大規模なロケにも挑戦したいそう。彼らのMVは「KAKUGARI」はもちろん、宇宙をメインにした「Sky's the limit feat. RIRI, SALU, SOCKS」リリックビデオ、インスタライブの映像を交えた「We Runnin feat. ¥ELLOW BUCKS」など、思い切った作品も多い。Egawa氏は「作っている自分たちがカッコイイ、面白いと思えるものを皆さんに観てもらいたい」とその思いを明かした。