DJ RYOW × 般若が語り合う、時代の変化と作品をリリースし続ける意味

DJ RYOW × 般若対談

 日本のヒップホップシーンに無二の足跡を刻み、これまでも多くの話題を提供してきたDJ RYOW(最近で言えば「ビートモクソモネェカラキキナ 2016」のリミックスでZeebraとAK-69の初コラボを実現させた立役者だ)が、3月21日、20年の活動の節目に通算10枚目のアルバム『NEW X CLASSIC』をリリースした。DJ RYOWの名を最初にシーンに知らしめたのは、今では伝説と名高い故・TOKONA-Xを客演に迎えた「WHO ARE U?」(2005年)のプロデュースだろう。以来シーンではDJ RYOWの名は一つのブランドであり、今も変わらぬ精力的な活動を続けている。本作は収録楽曲のMVに加え、昨年行われたTOKONA-X追悼ツアーの模様を収めたDVDをコンパイルした永久仕様版。この新作のリリースに際し、本作にも参加し、DJ RYOWと同じく現在10枚目のアルバム『話半分』のリリースを控えた盟友・般若を迎えた対談を企画。新作や時代の変化の只中で自身の作品をリリースすることについてどう考えているのかなどを語ってもらった。(山田文大)【※インタビュー最後にプレゼント情報あり】

「いつも想像を超えた曲になって返ってくる」(DJ RYOW)

ーーお二人は付き合いも長いですし、“DJ RYOW”と“般若”の名前が並ぶのは良い意味で「毎度感」があります。ただ毎回それがどんな曲なのかは、いざ聴くまで本当に想像がつかない。実際の二人の間の空気感だったり、曲を作る時のやり取りはどんな感じなんですかね。

DJ RYOW:自分のアルバムに関していうと、僕はいまチームでビートを作っているんですけど、その時僕らが作りたいものに絶対般若君が入っているんですよね。やり取りとしてはまずできたビートを般若君に聴いてもらって、それに返してもらうんですけど、その時にいつも想像を超えた曲になって返ってくる。

DJ RYOW

ーー今までで特に印象に残ってる曲はありますか?

DJ RYOW:「孤独。~Second Season~」(2014年/※書くのが憚られるような「ヤれる/ヤれない」という男の本音を生々しく羅列したトピック)って曲があるんですけど、あれとかはもう……ビビりましたね(苦笑)。

般若:「孤独。」あったね(笑)。あれ書いたの映画『Zアイランド』の撮影中で、出番待ちの時だったんだ。佐渡島で100人くらいのゾンビの前で(笑)。

DJ RYOW:(笑)。それで「孤独。」をライブで初めてやったのが、般若君の子供が生まれた日でしたもんね。ギリギリで来てくれて、あのタイミングも凄かったですよね(笑)。

ーーいま話に出ました「孤独。」もそうですし、「カルマ」(2009年)もですが、般若さんはRYOWさんの客演時は特に振り切ってる印象があります。

DJ RYOW:どうなんすかね。そこはビートというより、般若君の凄さと僕は思ってますけど。

般若:俺の3rdアルバム『内部告発』で最後に作ったのがRYOWがトラックをくれた「その男、東京につき」って曲なんだけど、レコーディングまで含めて、あんなにストレートに曲を作ったことはあんまりないんだ。あれは自分の中でもベスト3に入ると思う。一気にリリックを書いて、ほぼほぼ一発で録った。実際良い曲になったし、自分の代表作になったんだけど。今度出る俺の新しいアルバムでは「百発百中」という曲をやってもらってるし、ずっと前から毎回RYOWの作品にも起用してもらっているし……もうお互い何曲やったかわかんないレベルだもんね。これだけコンスタントに作品を出している人だから、信用できるというのがまずある。

般若

ーー今回の「モクメのGRIP」に関してはいかがでしたか?

DJ RYOW:般若君にラップをお願いした「モクメのGRIP」は、元々“E”qualと一緒に100本限定でカセットだけで出した曲なんですよ。この曲を作った時にはもうリミックスを作ろうとは考えていたんですよね。もっというと、その時点でもう般若君にお願いすることまで頭にあった。今回考えたのは、もう一人をどうしようということでした。それで、いつか良いタイミングがあればと考えていた呂布カルマが思い浮かんだんです。それが今回ハマった感じでしたね。

"E"qual & DJ RYOW『モクメのGRIP REMIX feat. 般若, 呂布カルマ』【Music Video】

ーー呂布カルマさんはRYOWさんと同じ名古屋出身のアーティストですが、一緒に曲を作るのは意外と今回が初ですよね。 

DJ RYOW:イベントではちょいちょい一緒になりますけど、曲を一緒にやるのは初です。昔、BALLERS(DJ RYOWが籍を置く名古屋のヒップホップクルー)でマイクコンテストをやっていたことがあるんですけど……フリースタイルバトルじゃなく、ライブのバトルですね。そこに呂布カルマはずっと出ていた。その頃からオールバックに柄シャツという格好で今と雰囲気は変わっていなくて。当時はみんな「こいつ誰なんだろ?」と言っていたんですけど、昔からラップはイケてました。

般若:今回は俺が最後に入れたんだよね。ヒロシ(“E”qual)と呂布のヴァースを聴いていたから、ちょっと変則的に入ろうというのは最初から俺の中でなんとなく頭にあった。自分のアルバムの作業があったから、その作業がひと段落つくまで待ってもらったんだけど、リリックは一気に書けたかな。

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