Roselia×RAISE A SUILENによる『バンドリ!』技巧派バンド頂上決戦 合同ライブから感じた双方のリスペクト

Roselia×RAS合同ライブレポ

 Poppin’Partyとともに『BanG Dream!』シリーズのリアルライブを引っ張ってきた2つのバンド、RoseliaとRAISE A SUILEN(RAS)。2組の合同ライブ『Rausch und/and Craziness』が、11月30日、12月1日の2日間、千葉・幕張メッセで開催された。ここでは今後のリアルライブに関する発表が多数行なわれた2日目の様子をレポートしたい。

 小説、アニメ、ゲーム、そして声優陣が演奏を担当するリアルライブなどを筆頭に様々な要素を展開してきた『BanG Dream!』シリーズにとって、2019年はさらなる飛躍の年だった。1月にはシリーズから生まれた様々なバンドの関係性によりフォーカスしたアニメ「2nd Season」の放送を開始し、12月にはスマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』が国内でも1,100万ダウンロードを突破。同時にリアルライブでは、Poppin’PartyがSILENT SIRENとの対バン形式でシリーズ初のドーム公演を経験。そしてRoseliaとRASは、タイプの違う2組の技巧派バンドとして、これまで都内近郊で行なわれていたシリーズの大型ワンマンの常識を覆し、それぞれ富士急ハイランド・コニファーフォレストと神戸ワールド記念ホールでライブを開催。リアルライブでも、その熱気をより全国へと広げていった。

 だとするなら、この日の合同ライブはRoseliaとRASの2組が互いの魅力を表現する、『BanG Dream!』シリーズの“技巧派バンド頂上決戦”。ステージ向かって左にRoselia、右にRASの巨大なバンドロゴが用意され、スクリーンに2バンドのキャラクターが向き合うビジュアルが登場してメンバー紹介がはじまると、早速会場に大歓声が巻き起こる。こうして、これまでの活動の中で互いが互いを認め合い、リスペクトしあう存在であるからこその、それぞれの魅力を真正面からぶつけ合うライブがはじまった。

RAISE A SUILENが観客を圧倒

 一番手として登場したのはRAS。彼女たちは〈挑戦状叩きつけ/奪い返すまでさ〉という合同ライブにふさわしいアグレッシブな歌詞を持つ「Invincible Fighter」で演奏をスタートすると、RASのライブでの代名詞とも言える色鮮やかなレーザーを全身に受けながら、初期のEDM的な楽曲からの広がりを感じさせるバンド感を増したロックサウンドで観客を圧倒。早速ロック役の小原莉子がギターを弾きながらキックを決めて観客のボルテージを上げるなど、冒頭からリミッターを外して突き進むRASらしい演奏がぐんぐん加速していく。

 とはいえ、この日最も印象的だったのは、何度も披露されてきた過去曲が、ジャムパートなどを加えつつ、これまで以上にメンバーのスキルを生かした構成に組み替えられていたこと。序盤はイントロから合唱が巻き起こった「A DECLARATION OF ×××」を経て、早速メンバー紹介も兼ねてソロを聴かせるジャムパートへ。小原莉子の背面ギター、マスキング役の夏芽による地鳴りのようなツーバス、パレオ役の倉知玲鳳のキーボードソロ、DJチュチュ役の紡木吏佐の背面スクラッチなどそれぞれの技を生かして会場を盛り上げる。

 以降もカバー曲「ヒトリノ夜」でスクラッチソロやギターソロなどを挿入。「お前ら全力でかかってこい!」と告げてはじまった「EXPOSE ‘Burn out!!!’」では、イントロからタメをつくるような展開から演奏が盛り上がり、RASの雰囲気を決定づけているレイヤ役のRaychellによる伸びやかで力強いボーカルと、英語が堪能な紡木吏佐のボーカルが交錯するお馴染みの展開へ。CD音源よりアグレッシブな演奏が続いていく。

 中盤には『BanG Dream!』シリーズのカバー曲として、Glitter*Greenの「Don't be afraid!」とAfterglowの「Y.O.L.O!!!!!」を披露。これまでは各バンドからボーカルを迎えて演奏されることも多かった楽曲を彼女たちだけで演奏する姿は、「Roseliaとの真っ向勝負」というこの日のライブならではの魅力を際立たせているようにも感じられた。その後はふたたびジャムパートに突入し、小原莉子がアームとエフェクターを駆使してスクラッチ音やサンプリング的な音を再現するギタープレイを披露すると、それがふたたびメンバーのソロパートに繋がっていく。

 以降は1月22日発売の『DRIVE US CRAZY』の収録曲「HELL! or HELL?」を披露。観客のクラップを受けた序盤を経て、小原莉子がギターソロ後にフロアに倒れると、以降はカバー曲「激動」を経て、Raychellが「まだまだ暴れ足りないでしょ?」と伝えて、倉知玲鳳が背面シンセを弾いて盛り上げた「UNSTOPPABLE」へ。最後はドラムに合わせてRaychellと観客が合唱をはじめるイントロではじまった新曲「DRIVE US CRAZY」を披露し、楽曲の後半に向けて一気に演奏のボルテージが上昇して紙吹雪とレーザーが入り乱れる中ステージを終えた。音源とは異なるアグレッシブな演奏やインタープレイを含む演奏は、彼女たちのライブバンドとしてのさらなる進化を告げるようだった。

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