森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.180
三代目JSB、秦 基博、Little Glee Monster、sumika、DEAN FUJIOKA……冬のバラードナンバーに注目
2ndアルバム『Chime』のヒット、日本武道館、横浜アリーナ、大阪城ホールを含む自身最大規模のツアーを成功させるなど、さらなる躍進を果たしたsumikaのニューシングル『願い / ハイヤーグラウンド』は大型タイアップによる両A面。「願い」は、社会現象となったドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)シーズン2の主題歌。深みのあるリズムセクション、煌びやかなストリングス、ドラマティックなメロディラインがひとつになったミディアムバラードだ。冬の情景とともに大切な人との関わり方を描いた歌詞、ひとつひとつの言葉を手渡すようなボーカルも心に残る。映画『僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE ヒーローズ:ライジング』主題歌として制作された「ハイヤーグラウンド」は、エッジーなギターサウンド、アタックの強いビートを軸にしたロックチューン。このバンドが持つ幅広い音楽性をバランスよく体感できるシングルである。
DEAN FUJIOKAのEP『Shelly』の表題曲は、自身が主演するドラマ『シャーロック』(フジテレビ系)の主題歌。オルタナR&B、トラップ、ベースミュージックなどをベースにしたトラック、キック、ベース、歌を中心に音数を押さえたサウンドメイクは、現在進行形のグローバルポップと完全にリンクしている。核になっているのは歌。言葉を心地よくグルーヴさせるボーカル、重層的なコーラスワークは、アルバム『History In The Making』以降のモードを端的に示している。“成就しない思い”を中心に据えたリリックも魅力的。決して手に入らない存在に対する感情を反映した歌詞は、“シャーロック”はもちろん、DEAN FUJIOKA自身のイメージにもよく似合っていると思う。同じくドラマ『シャーロック』のオープニングテーマ「Searching For The Ghost」も収録。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。