KinKi Kidsが歌うバラードの力ーー「光の気配」制作背景から伝わること

 「漠然とした喪失感や虚無感が滲んでいる歌は、KinKi Kidsとしてもすごくリアル」と語ったのは堂本剛。もちろん、その心にあいた空間とは、ジャニー喜多川氏を亡くしたという現実だ。関西にいた偶然同じ名字の少年2人がデュオを結成し、表現者として私たちの生活に根付いたのは、ジャニー喜多川氏がいたからこそ。

 「ジャニーズという音楽の素晴らしさをKinKi Kidsなりに、僕なりに、頑張って鳴らし続けてほしいって言ってるような気が僕はするんですよね」インタビューの最後に堂本剛はそう語った。そして堂本光一も「これからも自分の中で生き続けてるジャニーさんと、喧嘩しながらやっていくんだと思います」とも。

 2人が今、感じている光の気配とは、恩師が作ってくれたKinKi Kidsという場。繋いでくれたファンやアーテイストたちとの縁。そして、その人たちと歩んできた道のりそのものなのかもしれない。

 2019年も、あと1カ月弱。「あのとき、ああしてれば、こうしてれば……」と悶えることもあるけれど、きっとこの曲を聞けば、自分の中にある〈かすかな光の気配〉に気づけるはず。この年末は『KinKi Kids Concert 2019-2020』も開催される。KinKi Kidsと共に〈まだ叶えてない夢 出会えてない人たちを なりたかった自分を 思いがけない何かを〉、2020年を迎えに行こう。

(文=佐藤結衣)

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