飯田里穂が語る、芸能活動20年で見出した音楽の届け方と人生哲学「今さら取り繕った私は魅力的に見えない」

飯田里穂が語る、芸能活動20年で見出した音楽の届け方と人生哲学「今さら取り繕った私は魅力的に見えない」

幼い目線から大人目線に成長した「7月29日」

ーーなるほど。今回のアルバムにはデビューアルバム『rippi-rippi』から「始まりたいカノン」と「7月29日」の2曲が選ばれています。デビュー当時のインタビューで話していたことだと思いますが、確か最初のレコーディングで「始まりたいカノン」が思うように歌えなかったそうですね。

飯田:そうなんです。「始まりたいカノン」を歌ってみたものの、レコーディングスタッフさんから「それは違うよ。飯田里穂じゃないよ」と言われてしまって。「今、私が歌ったらこれになるんですけど、『飯田里穂じゃない』ってどういうことですか?」みたいな感じで、その「違う」の意味もまったくわからなかったんです。それこそ、キャラソンがわからなかった私が5年ぐらいかけてやっとキャラソンというものを習得したところで、「違うよ」と言われたから余計に混乱してしまって、本当に大変でした。結局、ゆったりしていて一番歌いやすそうな、言葉のメッセージ性が強い曲から歌ってみようということで、「あなたがいたから」から始めることになったんです。

ーーその「始まりたいカノン」をこうして再レコーディングしたことで、自分の中で当時との違いを感じることは?

飯田:だいぶありました。昔の歌声は明らかに若い声だし、跳ねているというか元気さが強かったんですけど、今歌うとちょっととんがりも取れて、大人っぽく落ち着けた感覚があるかなと思います。この曲の切ないメロディや歌詞も、あのときとは違う形でマッチするようになったんじゃないかな。

ーー「7月29日」もピアノを軸にしたしっとりめのアレンジに変わったことで、今の年齢に合った表現になったと思いますし。

飯田:そうですね。こちらも生のストリングスを入れていただいて、壮大なアレンジになりましたし。当時、自分で作詞をしたときはこういう位置付けで、こんな存在の曲になるなんて思いもしませんでした。

ーーそれは年を重ねるごとに曲の意味合いや、そこに加わる気持ちに変化が生じたと?

飯田:はい。今回のアコースティックツアーでも歌わせてもらったんですが、この曲を作詞したりレコーディングしたりしていた頃は未来に向けた歌というか、「不安で怖いけど、ここに立てるようになったよ」みたいな幼い目線だったんですけど、何回もみんなと一緒に歌うようになったことで、今はもっと大人になった目線で歌えている気がします。

ーーだからなのか、ただ再レコーディングしたというだけではなくて、ちゃんとご自身の成長が明確に表れているように感じられるんですよ。

飯田:「ただ歌い直しました」とか「ただアレンジを変えました」とかそんな安っぽい感じではなくて、成長や変化ということに対する思いを込めて作りました。それこそパワーアップとか、そういうキーワードはすごく意識しましたね。

ーーご自身としてはこの5年で、歌で気持ちを伝えたり何かを表現したりすることへの向き合い方に変化を感じますか?

飯田:だいぶ変わりましたね。最初は「ソロで歌いたい! 自分の曲を出したい!」みたいな感覚で突っ走っていたんですけど、一回リリースが途切れた時期があったからこそ、ちゃんと曲を発表できることのありがたみやライブをできることの喜びを再確認できましたし。

いろんな環境に身を置いて自分の感覚を研ぎ澄ませたい

ーー来年2月15日には新宿ReNYでの『Riho Iida Acoustic Tour 2019 -rippihylosophy-』追加公演も決まりました。

飯田:まだ決まっていないことも多いんですが、アルバム発売後のライブなのでセットリストもまた違った感じになるんじゃないかな。しかも、新宿ReNYという私が初めて1stソロライブを行った場所でやらせていただけるので、そういう要素も一連の20周年にまつわる活動として意味があるのかなと思いますし。

ーーなるほど。ここから21年目、22年目と活動を重ねていくことで、また新しいことに挑戦したり、音楽活動でも新しい曲を発表していくと思います。歌手・飯田里穂としてはここからどういう活動を見せていきたい、こういう音楽に挑戦してみたいとういうビジョンや目標はありますか?

飯田: 1年前に出させてもらったシングル「いつか世界が変わるまで」ではアニメのエンディングテーマをやらせていただいたんですが、また新しくそういう作品に携わっていきたいなとは思っていて。最近『リスアニ!LIVE』や『ANIMAX MUSIX』といったイベントに初めて出させていただいたんですが、そういうイベントにソロでは出演したことがなかったので、もっとアニメファンにも認知してもらえる楽曲をたくさん歌っていくことで、ああいう場でも盛り上がれるような存在になりたいなと、改めて実感しました。

ーー今回のアルバムもあることですし、アニメとの親和性の高い楽曲が増えるといいですよね。あと、これは個人的な希望なんですけど、こないだのアコースティックライブみたいなテイストの作品も残してもらえたらうれしいなと。

飯田:あ、もう普通にあのライブの形をCDとして出すということですか? それってすごく強気じゃないですか? 大丈夫かなあ(笑)。

ーーでも、今だからこそできるんじゃないかとも思うんです。

飯田:本当ですか? もともと私の声って速い曲とかグワーッと盛り上がるような曲よりも、アコースティック系のゆったりした楽曲のほうが合うとは思うので、求められるものも多そうですけど挑戦はしてみたいなとは思います。もともと好きな世界観ですしね。

ーー一方で、声優や俳優という演者としてこの先挑戦してみたいことや極めたいことは?

飯田:今はひとつのことにとらわれないで、いろんなことに挑戦していく時代だと思っていて。最近は映画の吹き替えをやらせてもらうことも増えたんですが、もともと吹き替えは挑戦したいことだったので、それができている今の状況はうれしいんですよ。それに、最近は舞台にも出させていただいていますし。もし舞台を経験していなかったら、今回のアコースティックツアーで「ピアノと歌で舞台をやっているみたいな感覚」ということにも気づけなかったでしょうし、そうやってお芝居でもいろんな現場と環境にどんどん身を置いて、自分の感覚を研ぎ澄ませていったほうがいいなと思っています。

ーー何かひとつのことを極めるよりも、エンターテインメントの世界を通じていろいろな形で人を楽しませることが飯田さんの性に合っているんでしょうね。

飯田:そういうことが好きなんですよ。それこそ最初の話じゃないですけど、私は飽き性なので(笑)、ひとつのことだけに執着し続けるタイプではないですから。舞台でお芝居をやったことが今回のアコースティックツアーに還元されたわけですから、たぶん私にはこのやり方が合っているのかもしれないですね。

ーーアコースティックツアーで得た経験が、さらに今後の音楽活動や演技にも還元されていくでしょうし、表現者としての幅もどんどん広がるでしょうし。

飯田:20周年というと、お祝いして「おめでとう!」「ありがとう!」で一見終わりみたいな感覚ですけど、実は全然そんなことはなくて。このお祝いの場があったことで、まだこれだけ応援してくれる人がいるんだってことがわかったからこそ、次にまた新しい挑戦が待っているんじゃないかなと思うんです。

ーー節目って振り返りのタイミングになりがちですけど、飯田さんの場合は前に目を向けて新しいことに挑むためのタイミングでもあると。

飯田:うんうん、確かに前向きですね。基本的にあんまり過去を振り返るようなタイプでもないので、私にとっては「ああ、このぐらいのときにこんなことをやっていたのか」と知ることは逆に良いきっかけだったんですよ。「だったら、まだこんなこともやれるんじゃないか?」と新たに気づくことができて、それをこうやって『rippihylosophy』という1冊の哲学書という形でまとめることができたわけですから。

ーーここからさらに活動を重ねることで、その哲学書はさらに厚みを増していくことになると。

飯田:あるいは2冊目を作ったり。1冊目で終わるわけにもいかないですから(笑)。仮に20年プラスして40周年で次を出すとしたら……20年後って……48歳。その頃の私は何を歌っているんでしょうね(笑)。

(取材・文=西廣智一)

アルバム『20th Anniversary Album -rippihylosophy-』

■リリース情報
アルバム『20th Anniversary Album -rippihylosophy-』
発売日:2019年12月4日(水)
価格:¥3,000(税抜)
 
【収録楽曲】
M1.サンデーモーニング(NHK教育『天才てれびくんMAX』)
M2.僕らのLIVE 君とのLIFE(TVアニメ『ラブライブ!』テーマソング)
M3.私の時計は逆回転!(4to6(Pile&飯田里穂))
M4.Reason of birth(『魔法少女オーバーエイジ』)
M5.カラフルストーリー(TVアニメ『レーカン!』オープニングテーマ)
M6.ユメノツバサ(TVアニメ『VENUS PROJECT−CLIMAX−』エンディングテーマ)
M7.始まりたいカノン(アルバム「rippi-rippi」)
M8.7月29日(アルバム「rippi-rippi」)
M9.KAIJUハート(アニメ『怪獣娘〜ウルトラ擬人化計画〜』エンディングテーマ)
M10.Change the World(アニメ『超游世界』オープニングテーマ)
M11.Special days(ミニアルバム「Special days」)
M12.いつか世界が変わるまで(TVアニメ『寄宿学校のジュリエット』エンディングテーマ)
※M11・M12は既存音源を使用しています。
 
リリースイベント「リリイベ20 Ren-Patsu」開催決定
詳細スケジュールは公式サイトより

■ライブ情報
『Riho Iida Acoustic Tour 2019 -rippihylosophy-』追加公演
2020年2月15日(土)
新宿ReNY
開場17:00/開演18:00 
¥6,000(税込)
ドリンク代別/オールスタンディング/入場整理番号付/未就学児童入場不可
INFO:KMミュージック045-201-9999

<一般発売>
2020年1月11日(土)10:00〜
イープラス(PC・Mobile共通)
チケットぴあ 0570-02-9999 (Pコード: 169-870)
ローソンチケット 0570-084-003 (Lコード: 74362)

「飯⽥⾥穂写真集(仮)」
発売⽇:2019年12⽉20⽇(⾦)
※⼀部、発売⽇が異なる地域がございます
定 価:¥3,000+税
撮 影:藤本和典
発売元:東京ニュース通信社
全国の書店、ネット書店、TOKYO NEWS magazine&mookにて予約受付中
詳細は公式サイトより

飯田里穂OFFICIAL WEB

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