さくら学院、@onefiveの今後の展開は? ユニット特性を“部活動”の歴史から紐解く
10月19日、ガールズユニット・@onefiveのメンバーが突如として発表され、ネットを中心に大きな話題を集めていた。現在、さくら学院の中学3年生メンバーとして活動する藤平華乃、吉田爽葉香、有友緒心、森萌々穂の4人からなる同ユニット。ルーツとなるさくら学院の歴史も辿りながら、今後、彼女たちがどのように活躍していくのかを占っていきたい。
人生の通過点に位置付けられるさくら学院
彼女たちのルーツであるさくら学院は「成長期限定ユニット!!」を謳い、2010年4月に開校(結成)したアミューズ発のアイドルグループだ。
2020年4月をもって開校から10周年を迎えるが、国内外でのライブを軸に活動するメタルダンスユニット・BABYMETALや、今年8月に公開した映画『ダンスウィズミー』で主演を務めた女優の三吉彩花、女性ファッション誌『Ray』の専属モデルやタレントとしての活躍も目立つ松井愛莉らの出自としても知られる。
様々なアイドルグループがある中で、さくら学院が持つ最大の特徴はメンバーたちの卒業が明らかに決まっていることだ。グループの年度にもよるが、在籍するメンバーの学年はおおむね小学5年生から中学3年生で、実際の義務教育過程が修了すると共にグループを離れる決まりとなっている。
その理由は、グループの指針となっている「校則」からも垣間見えるが、彼女たちの土台には将来的に「スーパーレディ」として自立して活躍していくという目標がある。そのため、活動の意義は固定したメンバーでグループを存続させることではなく、あくまでも“人生の通過点”として彼女たちに様々な体験をさせようとする工夫もみられる。
年間を通した流れとしてはライブはもちろん、特定分野の専門家を招いて行われる「公開授業」や、毎秋の恒例行事となっている寸劇などを交えた「学院祭」などが催され、現実の学校さながらのカリキュラムで彼女たちの育成を目指しており、父兄と呼ばれるファンからみても、学校の“授業参観”を眺めているかのような心温まる現場を楽しめる魅力がある。
さらに、もう一つ挙げたいのが生徒会の存在で、例外として一部のメンバーが中学2年生から所属した事例もあるが、原則として中学3年生になったメンバーは役職を割り当てられ、何らかの立場からグループをけん引するよう求められる。今年度は、藤平が“生徒会長”、吉田が“頑張れ!!委員長”、有友が“はみだせ!委員長”、森が“トーク委員長”となっている。
BABYMETALの出自でもあるさくら学院の“部活動”
毎年度のメンバーごとに更新される紹介曲「目指せ! スーパーレディー」や、英語や算数など各科目の知識を取り入れた“賢くなれるシリーズ”などの楽曲からも、グループの伝統が継がれるさまを味わえるさくら学院。一方で、学校生活の空気感をかもし出す要素として特筆すべきなのが「部活動」と呼ばれる存在だ。
グループとしての楽曲を披露する一方で、ライブでは特定のメンバーが割り振られた部活動ユニットも登場する。歴史をたどると、始まりは開校前に結成していた2013年度の卒業生である堀内まり菜、飯田來麗、杉﨑寧々の3人による「クッキング部 ミニパティ」で、現在は、中学3年生の吉田と有友からなる「購買部」が活動中だ。
2014年5月には、部活動ユニットの曲を集めたアルバム『放課後アンソロジー from さくら学院』も発売されており、2014年度の生徒会長を務めた菊地最愛や、同年度のプロデュース委員長を務めた水野由結らからなるバトン部「Twinklestars」、2015年度の卒業生である磯野莉音ら3名による科学部「科学究明機構ロヂカ?」などの楽曲が収録された。
そして、同作に今年10月にアメリカ・ロサンゼルスにあるTHE FORUMで自身二度目の海外アリーナ公演を成功に収めたBABYMETALが、重音部として活動していた当時の楽曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」も収録されている。彼女たちの存在が実は、動向が注目される@onefiveの未来を占うためのヒントにもなっている。
BABYMETALが初めてステージに立ったのは、2010年11月に行われた『さくら学院祭☆2010』であった。前段としてさくら学院のメンバーは「義務教育課程が修了する中学3年生を終えた段階で卒業する」と述べたが、本来、原則として部活動も例外ではない。しかし、彼女たちはSU-METALこと中元すず香が2012年度に卒業したのを境に「課外活動」として、独立した活動を継続。以降、現在に至るまでの過程において単独ユニットとしての存在感を強めていった。
これがなぜ@onefiveに繋がるのかといえば、彼女たちが「部活動」と謳われておらずさくら学院から独立した動きがみられるからだ。
なかでも気になるのは、メンバーそれぞれの名前が母体とは異なる名義になっている点であり、BABYMETALはさくら学院での名前を“世をしのぶ仮の姿”として中元はSU-METAL、菊地はMOAMETAL、そして、2018年10月にユニットから脱退した水野はYUIMETALの名前をそれぞれ授かったが、@onefiveも各メンバーの名前をモチーフにして、藤平はKANO、吉田はSOYO、有友はGUMI、森はMOMOとユニット独自のメンバー名が与えられている。
さくら学院としては唯一の例外となったBABYMETALであるが、課外活動としてメンバーの卒業を経ても継続するようになってから約6年半。活動中に突如として結成が発表されたのは@onefiveが初めてのケースではあるが、前例を踏襲するかのような展開に期待を寄せる声も少なくない。