わーすたが示した、気高く美しいアイドルの姿 “遮二無二”臨んだ初の野外フリーライブを見た

わーすたが示した、気高く美しいアイドルの姿 “遮二無二”臨んだ初の野外フリーライブを見た

 毎月YouTubeに公開してきたスタジオライブをはじめ、7月の発表から3カ月間、わーすたが開催に向け大きく力で注いできた『わーすた × NEKONOTE BAND FREE LIVE “ゆうめいに、にゃる!!!!!”』。グループ初のフリーライブをバンドスタイルで行う特別なこの日、10月8日の代々木公園野外ステージには入場整理券の配布時間前から多くの人が並び、総じて3,000人ものファンが詰めかけた。メンバーが事前に言っていた通り、結成5年目に突入したわーすたの大きなターニングポイントとなる忘れられない夜になった。

わーすた

「私たちにはまだまだ見たい景色があって。大きなターニングポイントとして、大きな通過点として、今日を支えに明日からもっともっと大きくなったわーすたをみんなに見てもらいたいと思っています。5周年を迎えるときにはもっと大きな景色を前に、ライブが出来たらいいなと思っています」

 アンコールのラスト前、今日ここに集まってきてくれたファン、ずっと応援してきてくれたわーしっぷ(わーすたファンの呼称)と、今日からわーしっぷとなった人たちに、廣川奈々聖は感謝を述べたあと、そう語った。だが、この言葉に込められた本当の意味を知るのはもう少し後のことだった――。

 フリーライブの開演直前の様子(フォトギャラリー)

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 すっかり暗くなった午後6時。NEKONOTE BANDが登場、メンバーがそれぞれの持ち場についた。SE「Overture」が鳴ると、そのリズムに合わせて生のビートを重ねていく。聴き慣れたSEも生演奏で聴くと昂揚感が段違いだ。客席から湧き上がる“わーすた”コールもいつもより熱を帯びている。それを受けてバンマスの岸田勇気(Key)が両手を上げてさらに煽っていく。

 いつもと明らかに違うこの雰囲気の中、夜風に乗るかのごとく颯爽と現れた猫耳を付けた5人。凛とした表情で客席をジッと見つめると、カウントも前奏もなしに右手を大きく旋回させて歌い出した。それはほんの数秒の間であったものの、この会場とこの日のライブを一気に掌握した瞬間だった。「最上級ぱらどっくす」で、ライブの幕が上がる。

「代々木、いくぞぉぉぉぉぉーー!!」

 初っ端からありったけの声量で叫ぶ、三品瑠香。「私たちが今日を最高にすることを誓います!」それを受けた廣川奈々聖は高らかに宣言し、滑らかな声を響かせる。5人が纏った黒のレザー衣装は、スタジオライブでお馴染みであるものの、思い返してみれば、2017年に行ったはじめてのバンドセットライブ『The World Standard ~夢があるからついてきてね~』でお披露目されたものだ。

「いよいよはじまりました! みなさんの大切な時間を私たちが最高の時間にしていきます!」

 その廣川の声は、いつもより何倍も大きく、何段階もトーンが上がっているように聴こえた。間髪入れずに「NEW にゃーくにゃくにゃ水族館2」へ突入する。むらたたむ(Dr)の的確に繰り出していくリズムの波がタイトなアンサンブルを司り、岸田の奏でる突飛なフレーズがわーすたワールド全開の派手さを彩っていく。

 この日に向けて行われたイラストコンテスト『FREE LIVEステージを象徴するバックバナーをわーしっぷと一緒に作る!』でメンバー自ら選んだという、ステージ後方に大きく掲げられたバナーを背に、会場を隅々まで見渡しながら悠然とパフォーマンスする5人。その姿は、いつもより気合が入っている、というよりもこの場を存分に楽しんでいるように見えた。広いステージを満遍なく使ったフォーメーション。上手から下手、下手から上手へと移動しながら、前方からずっと後方まで、客席の1人1人と目を合わせるように歌い踊る彼女たちの姿は眩しいほどに輝いて見えた。

 「みなさんにも重なるような歌詞が詰まっていると思います」そう紹介された「スタンドアロン・コンプレックス」と、10月30日リリースのニューシングル曲「遮二無二 生きる!」の流れは、間違いなくこの日のハイライトだった。廣川のしっとりとした歌い出しと松田美里の情熱的なダンスは、三品の力強い歌と坂元葉月の躍動感溢れる大きな動きへと引き継がれていく。背中合わせの廣川と三品の対照的な歌声を紡いでいくのは、しなやかに舞う小玉梨々華であり……、

〈自分の理想叶えるために僕は “ありきたりな10代”を捧げた〉

 そして、〈遠い街のこの場所に立っていた〉5人が、気がつけば同じ動きへと折り重なって揺れる。

〈誰もが知ってるような“放課後の風景”も 僕は知らないままで戦うんだ〉

 「私たち、わーすたメンバーはみんな地方から上京してきて、私たちのあるようでなかった青春を――」歌う前に廣川が語った言葉……そんな「スタンドアロン・コンプレックス」が代々木公園の夜空に響いた。

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廣川 奈々聖
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 そこからの「遮二無二 生きる!」だった。普遍的でおおらかな耳馴染み良いメロディに、青春の全てをアイドルに捧げてきた彼女たちの、感謝と決意が詰まっている。先日のインタビューで松田が「理想までの道のりを表している曲」だと言っていたが、まさに5年目のわーすただからこそ歌うことができる歌だった。すでにライブでは披露されていたし、MVも公開されていたわけだが、本当の意味でこの曲に込められたものをしっかりと見せてくれた。“恋せよ乙女”ならぬ、“恋せぬ乙女”たちの、気高く美しいアイドルの姿がそこにあった。

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