『Andante TOUR』
HOWL BE QUIET、変化の中に変わらずにあるものーー3年ぶりLIQUIDROOMワンマン振り返る
HOWL BE QUIETが最新アルバム『Andante』を携え行った全国ツアー『Andante TOUR』、10月3日恵比寿LIQUIDROOMのファイナル公演を見て感じたこと。それは、2016年のメジャーデビュー以降、自分たちに似合う服を探すかのようにあらゆる表現方法に果敢にチャレンジしてきた彼らが、ようやくいつまでも着ていられる服を見つけたような感覚だった。あるいは、デザインや装飾ではなく、素材や形そのものを楽しむような感覚とも言えるかもしれない。
HOWL BE QUIETは、アルバムのリリースに至るまでの2年間、メンバーの脱退や新メンバーの加入などを経験。『Andante』では、初のプロデューサーとしてTAKU INOUEを迎え、メロディの良さを生かしたメリハリの効いたバンドサウンドを実現させた。あらゆる変化が起こる中、HOWL BE QUIETに変わらずあったのは、いいメロディと歌を届けるという精神だ。
『Andante』同様、「覆水盆に返らず」から始まったこの日のライブ。LIQUIDROOMを埋め尽くした観客たちからは、久々の再会を噛み締めながら、新生HOWLが鳴らす音楽を、ボーカル竹縄航太の歌声を漏れなくしっかり受け止めたいという静かな熱意が感じられた。
軽快なテンポを刻む「Dousite」「Daily Darling」、手拍子が後押しする「ラブフェチ」とライブならではのアレンジもまじえながらいきいきとした演奏が続き、竹縄が「久々にまっすぐ(な思いで)書けた曲」と紹介したのが、アルバムリードトラックの「fantasia」。リリース時のインタビューで「最初は小さいことであっても、縁や出会いを逃さずに掴みたい」というアルバム全体にもつながるテーマをもっていると説明があったバンドの強い思いが込められた一曲だ。『Andante』の中でもチャレンジングな「バーバラ」のアウトロからそのままインディーズ時代の「千年孤独の賜物」に続く流れは、すべての曲が地続きにあることを印象付け、デジタル色の強いダンスナンバー「Higher Climber」はバンドサウンドが前面に出た形でアレンジが施された。
竹縄が一人ステージに残って「GOOD BYE」を弾き語った後、ツアー各地では2人ずつの組み合わせでアコースティックセットでのデュエットを行ってきたそうだが、この日は全員で「孤独の発明」を披露。いずれも初の全国流通盤『DECEMBER』に収録されていた楽曲だ。当時からおよそ6年、歌と演奏にも深みが増す。原点回帰とも言えるこのパートには、間違いなくHOWL BE QUIETの根幹にあるものが映し出されていた。