SEVENTEEN、『An Ode』で自己最高記録更新 “ダークコンセプト”に挑戦し新たなフェーズへ
音楽的には、成熟とパワフルを見せるという意思を反映してだろうか、タイトル曲の「毒:Fear」だけではなく「Let me hear you say」「247」(パフォーマンスチーム)「Second Life」(ボーカルチーム)など、R&Bベースの楽曲が多い。K-POPでは頻出するジャンルだが、SEVENTEEN自身は今まであまり楽曲に取り入れてこなかったディープハウスやアーバンR&Bなども今回は取り入れている。トレンディな編曲を加えることで現代的なフレッシュさは失わないようにしているが、一方でSEVENTEENの楽曲的特色の1つでもある、トレンドのジャンルミュージックに加えるレトロなエッセンスとどこか韓国歌謡にも通じる、良い意味でメジャー感のある通俗さは変わっていない。過去の楽曲ではファンクやモダンロックなど60〜70年代がベースにあったが、今回は主に80年代〜90年代に最もメジャーなポップスジャンルのひとつであったR&Bをベースにしていたり、ゼロ年代に大流行したグリッチサウンドを彷彿とさせる「Network Love」など、やや新しい時代のジャンルのネオレトロ系の味つけが変化と言えるだろう。もちろん、ファンクベースの「Lucky」やゴスペルとヒップホップを融合したような「Snap Shoot」のような生来のSEVENTEENらしさを感じる楽曲も健在だ。
ダークコンセプトや成熟したイメージを取り入れながらも、根底にある清涼感というのか、彼らならではのどこか品の良い雰囲気は変わらない。今回もSEVENTEENのアルバムには昔から欠かせないPRISMFILTERやシモン・ペトレンも参加している。今回ボーカルチームの楽曲の作曲にメンバーのバーノンが参加しているが、日本オリジナル楽曲の韓国語バージョンを収録してもアルバムとしての一貫性と流れが保たれるのは、メンバー全員の意見を取り入れつつも1つの方向にまとめ上げることが可能な現行の作曲システム、メンバーのウジとBUMZUによる二人三脚の自主制作スタイルをデビュー時から一貫して続けているからなのかもしれない。
青春の喜びを描いたデビューEPの『17 Carat』から1stフルアルバムの『LOVE & LETTER』リパッケージまでを第1期SEVENTEENとするならば、青春の切なさを描いた『Going Seventeen』から『Director's Cut』までが第2期、少年から青年への過渡期と夜明けを描いた『YOU MAKE MY DAY』『YOU MADE MY DAWN』が第3期と言えるだろう。そして、いよいよ大人への第1歩を描いたのが今作『An Ode』なのかもしれない。今作はアルバム初週販売数(フィジカル)70万枚を突破し、自己最高を記録した。世界各国のiTunes K-POPランキングでも24カ国で1位を獲得し、着実にファンドムを拡大しているSEVENTEEN。質・量共に新たな成長段階に突入したアルバムと言えるだろう。
■DJ泡沫
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