King Gnu、ツインボーカルの強みと存在感 大坂なおみ出演ANAテレビCM曲「飛行艇」を分析

King Gnu「飛行艇」を分析

 さて、King Gnuといえば2019年2月にリリースした「白日」が半年経った今もなおロングヒット中だ。「白日」は井口のファルセットボイスから始まる純度の高いバラードだが、「飛行艇」は常田のワイルドなボーカルから始まるエネルギッシュな曲。そのため、「白日」で初めてKing Gnuを知ったという人の中にはこのギャップに驚いた人もいたかもしれない(もちろん常田がメインで歌う曲はこれまでにもたくさんあったのだが)。

 ツインボーカル体制であること、さらに確かな技術と感性を持ったメンバーに恵まれ、高度なアレンジが実現可能であることは彼らの最大の武器だ。King Gnuとはその武器を大いに振るいながら、いち音楽ジャンルやテンプレ的な「バンドっぽい音作り」に囚われないような作品作りを行なっているバンドである。例えばBillboard JAPANが発表した2019年上半期のアーティストランキングで首位を獲得したあいみょんが、総合ソングチャート“JAPAN HOT 100”に自身の曲を31曲も送り込んでいるように、ストリーミングサービスを通じてリスナーが”ディグる“ことにより、芋づる式に他の曲がヒットしていくケースもある。そんな状況において、ディグり甲斐のあるKing Gnuのようなアーティストが今後さらなる存在感を発揮していく可能性もあるのではないだろうか。

 ANAのCMで使用されている「ひとには、翼がある。」、「それを使うか、使わないか。」というキャッチコピー。あの言葉は、(大阪なおみのような)己の限界に挑み続けるアスリートのみならず、自らのクリエイティブの強度を信じ、その独創性と先鋭性を発揮するKing Gnuのことをも言い当てているように思う。

[ANA] 大坂なおみ選手~ひとには翼がある篇~(30秒/告知有)

■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。

■リリース情報
配信シングル「飛行艇」
ANA「ひとには翼がある」篇 TVCMソング
配信中
ダウンロード / ストリーミングはコチラから

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