人間椅子、30年歩み続けた地獄めぐりの孤高の道 ストイックな生き様を見せつけた豊洲PiT公演

人間椅子、30年歩み続けた孤高の道 

Ningen Isu / Blasphemy (LIVE) 〔人間椅子/瀆神・ライブ映像〕

 最後の来日公演を控えたKISSのジーン・シモンズに捧げた「瀆神」は、いなたいブギー調のリズムに乗って鈴木と和嶋が掛け合いボーカルを聴かせ、クライマックスではナカジマノブが渾身のツーバス踏みまくり。和嶋がボーカルを取る「今昔聖」の、クリーントーンとディストーションを使い分けるギターが惚れ惚れするほどかっこいい。ライブは三分の二を終え、いよいよ最終章へと突き進む。

 マイクを握ったノブが「俺のことをアニキと呼んでくれ!」と叫ぶ。「一緒に歌ってくれるか!」と煽り、曲はもちろん『新青年』から、ナカジマノブ作曲&ボーカルの「地獄小僧」。ファンキーでポップなハードロック調のサウンドに、伸びやかなハイトーンの声がよく似合う。「先に地獄で待ってるMotörheadのレミー(・キルミスター)、エディ("ファスト" エディ・クラーク )、アニマル(フィルシー "アニマル" テイラー)に捧げます」という、鈴木の紹介もぐっと胸に沁みた「地獄の申し子」はさらに激しくさらにアップテンポに、和嶋と鈴木はステージを動き回ってオーディエンスを煽りにかかる。

 「超自然現象」は、Led Zeppelinばりの王道ハードロックスタイルで、渦巻く熱気と肌に当たる音圧がすさまじい。そして本編ラストを締めくくったのは、バンド初期の代表曲にして今も絶大なパワーを放つ怒涛のスラッシュメタル曲「針の山」だ。和嶋が飛び跳ねる。歯でギターを弾きまくる。ノブが親のかたきとばかりにスネアを引っぱたく。鈴木と和嶋が揃いのリフを決める。世界よ、これが人間椅子だ。疾風怒濤のエンディング。

 アンコールはしっとりと慈しみ深く、深沢七郎のサスペンス短編からタイトルを取ったという「月のアペニン山」を。和嶋は12弦と6弦のダブルネックギターを爪弾き、ノブはタンバリンやパーカッションで音を紡ぐ、アコースティックなムードの人間椅子もまたいとおかし。一転して鈴木がボーカルを取る「地獄風景」は、ノブがシンバルを叩きっぱなしの高速ハードロックで、中間部に三三七拍子を織り込んでフロアは沸騰。鳴りやまぬ拍手に応えたダブルアンコールで「どっとはらい」を披露して、2時間20分に及ぶツアーファイナル公演は終幕。これにて一件落着。

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 和嶋はこの日のMCで、「死ぬまでバンドやります」と高らかに宣言した。12月13日、中野サンプラザにて、結成30周年記念ワンマンライブも発表された。過去の曲をも新たな機材や解釈で蘇らせ、人間椅子は未来を目指す。そのストイックな生き様を熱烈支援するファンと共に、同行二人のロック旅はまだまだ続く。

(文=宮本英夫/写真=堀田芳香)

人間椅子 公式サイト

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