MUCC ミヤの“40歳”をlynch.やROTTENGRAFFTYが祝福 誕生日イベントレポ

MUCC ミヤの“40歳”イベントレポ

 2019年7月26日。この日、一人の男の誕生日を祝うべく、様々なバンドとそのファン達が新木場STUDIO COASTに集結した。この日開催された『MUCC BIRTHDAY CIRCUIT2019「40」』はMUCCメンバーそれぞれの40歳の誕生日を祝うライヴイベントで、『〜COMMUNE Feat.EN Miya40TH SPECIAL〜』と銘打たれた今回はギタリスト・ミヤのバースデーイベントである。4人のバースデーの中でも最初に開催された今回のイベントは、平日の早い時間からのスタートにも関わらずチケットはSOLD OUT。それもそのはず、出演するバンドの名前が並んでいるだけで壮観とすら言えるほど、アクの強いメンツが揃っていた。

 トップバッターで現れたのはX SUGINAMIだ。今回のイベントの主役であるミヤがPATAに扮し、X JAPANを本気でコピーしているバンドである。各メンバーが登場するとトップバッターとは思えない程大きな歓声が沸き上がり、ミヤが登場すると会場はより一層大きな歓声に包まれた。ToshIに扮したNoGoD・団長のハイトーンシャウトを皮切りに「BLUE BLOOD」へ。機材も本家と同じ物を使用していることもさることながら、あまりの完コピぶりに観客のテンションもみるみる上がっていく。HIDEに扮したMERRY・結生とミヤのツインギターソロで会場のボルテージは早くもMAXに。

 団長の笑いを誘うMCから「Silent Jealousy」、「破滅に向かえるかー!」という煽りから「Rusty Nail」とたたみかけ、最後のサビではフロアから大合唱が巻き起こる。ラストの「X」ではミヤの「天井ぶち破っちまえ!」という煽りを現実にするかの如く、“Xジャンプ”が巻き起こる。まだライヴは始まったばかりにも関わらず、超満員の会場は大きく揺れた。

 かなり温まった会場に続いて登場したのはメトロノーム。シャラク(VOICECODER)の「お邪魔しまーす!」の声から「血空」。ゲームのようなポップな電子音から一転、激しいヘッドバンギングが巻き起こる。ギターとベースがどちらもTalboというボディがアルミで出来た楽器を使用しているため、サウンドは不思議な空気を醸しており、そこにシャラクの飄々とした声質が重なり、独特の浮遊感を生んでいる。続く「孤独氏」では観客全体が意識を持った一つの生命かのように、彼らの音に浮かされ気持ち良くフロアを漂っているようですらあった。

 MCでシャラクは「こんなイベントに呼んでいただけて光栄です。ですが! 対バンは戦国。僕は皆に好かれたいので裏ではMUCCの足を引っ張って行こうと思います」と笑いを誘い「Catch me if you can?」から「さくらん」へと続いていく。ベーシストのリウ(TALBO-2)がキーボードを弾くなど、枠にとらわれないサウンドでフロアの熱量を上げていく。ギターのフクスケ(TALBO-1)が「ミヤが俺達を好きで呼んでくれたわけだから、全員が次の曲に参加してくれればミヤが好きなメトロノームが盛り上がるので、皆ワキが裂けるぐらい手を挙げてくれ!」と煽り「MATSURI」へ。様々なバンドのファンがいるということを忘れるぐらい、この瞬間を楽しんでいく。そしてラストの曲の前に「最後の曲はオイオイする感じで。かっこいい言い方をすると、イヤモニ越しでもお前らの声聴かせてみろって感じです」とシャラクが煽ると客席からは大歓声が上がり「強くてNEW GAME」をパフォーマンス。「お邪魔しましたー!」とステージを締めくくった。

 会場を温かい空気が包んだのも束の間、次に控えているlynch.がサウンドチェックで「GREED」を演奏した瞬間、客席は大きな歓声を上げる。思わず葉月(Vo)も幕越しにお礼の言葉を述べるほどに会場の期待値は高まっていく。暗転し、改めてlynch.が登場。いきなり鋭いスラップから「INVADER」へとなだれ込み、盛り上がりは一気に最高潮に。先程までの歓声が怒号へと姿を変えていく。そして葉月が「この曲が出た時はこんな激しい曲を40歳がやるなんて考えられなかったです。時代は変わったんです!」と煽り、MUCCの楽曲「茫然自失」を繰り出すと驚きの歓声とともにフロアが大きく乱れ始める。激しいヘッドバンギングの嵐が巻き起こり、ダイブする者も現れるほど。続く「EXIST」では大きなサークルピットが発生。「俺らがやらかした時にMUCCが『COMMUNE』で救ってくれた曲です。届け―!」という熱い叫びから「MIRRORS」「THE FATAL HOUR HAS COME」へと続いていく。展開が複雑な楽曲にも呼応していくこの日の観客はさすがの一言に尽きる。

 さらに熱量が上がっていく会場に「時間が無いんで用件だけ言います。SEXしませんかー!」と恒例のお誘いから「pulse_」が始まると超満員の会場全体から“ヤリたい”、という怒号が飛ぶ。「あと1曲で終わっちまうよー!」と名残惜しそうにする葉月。その言葉に応えるように最後の「GALLOWS」では会場全体が彼らのライヴを最後の一滴まで楽しもうと本気でぶつかり、lynch.も負けじとスタイリッシュで洗練された重低音で応戦していく。彼らがステージから去った後には外の日差しよりも遥かに強烈な熱気が残った。

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