スカパラ、三代目JSB、Creepy Nuts、CKB、SPiCYSOL……魅力的なコラボが堪能できる新作
桜井和寿(Mr.Children)をゲストボーカルに招いた東京スカパラダイスオーケストラ(以下、スカパラ)の“歌モノ”シングル、海外のトップクリエイターの共同プロデュースによる三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目JSB)の新曲など、魅力的なコラボレーションが堪能できる新作を紹介。海外のシーンと同様、国内でも意外性に溢れたコラボやコライトによってヒットにつなげる流れができつつあるようだ。
昨年の『ap bank fes '18』で初めて共演したスカパラと桜井和寿。その1年後の夏、スカパラのデビュー30周年を記念した“歌モノ”シングルとして、「リボン feat. 桜井和寿(Mr.Children)」が届けられた。「スカパラ三十周年のために何かさせて欲しい」という桜井の申し出によって制作がスタートしたこの曲は、NARGO(Tp)が作曲、谷中敦(Baritone Sax)が作詞を担当したナンバーだ。オープニングはド派手なホーンのフレーズ。軽快なスカビートを軸にした生々しいバンドサウンド、躍動感としなやかさに溢れた桜井のボーカルがぶつかり合う、スリリングにして開放的な楽曲に仕上がっている。〈祈るように待つのはもうやめた/哀しみはデタラメに塗り潰せ〉に象徴される、切実なポジティブ感と強い説得力に満ちたリリックも素晴らしい。
8月2日放送の『ミュージックステーション』で初披露、翌日3日に全世界配信された新曲「SCARLET feat.Afrojack」は、“赤”をテーマにしたサマーチューン。デヴィッド・ゲッタ、アリアナ・グランデなどの楽曲を手がけてきたオランダ出身のクリエイター、ジョルジオ・タインフォートと、世界的プロデューサー/DJであり、三代目JSBの「Summer Madness」に関わったAfrojackの共同プロデュースによるこの曲は、フロアを盛り上げるアッパー感、そして、切なくも悲しげなメロディラインを共存させた哀愁系エレクトロと呼ぶべきナンバーに仕上がっている。躍動感に溢れたダンスパフォーマンス、ボーカリスト2人の魅力をバランスよく際立たせる構成も見事。世界の潮流を反映させつつ、J-POPとしても成立させてきたこのグループの最新モードを示す1曲と言えるだろう。
表題曲「よふかしのうた」(『オードリーのオールナイトニッポン10周年全国ツアー』公式テーマソング)、「犬も食わない」(日本テレビ系コントバラエティ番組『犬も食わない』テーマソング)などを含む新作ミニアルバム。メンバーのR−指定(MC)とDJ松永(DJ)とオードリーとの交流から派生した「よふかしのうた」、番組の趣旨に賛同して書き下ろした「犬も食わない」ともに、“なぜこの曲をCreepy Nutsが作ったか”という動機、文脈がはっきりしているところがポイントだろう。特筆すべきは、すでにライブアンセムとなっている「生業」。トラップ系のトラックにストロングスタイルのラップを乗せ、“ラップをやっていきることとは?”という根源的なメッセージを込めたフレーズを刻んだこの曲は、このユニットの高い実力とセンス、ヒップホップに対するプライドが真っ直ぐに伝わってくる。