鞘師里保の完全復活は近い? 『ひなフェス』出演やBABYMETAL合流などの伏線を読む

ASH出身のSU-METALとハロプロの元メンバーに憧れを抱くMOAMETAL

 ファン心理からいえば“奇跡”にも近い、突然の復帰から約3カ月後。彼女が予告なくふたたび姿をみせたのが、今年6月28日に横浜アリーナで行われたBABYMETALの公演『BABYMETAL AWAKENS – THE SUN ALSO RISES -』だった。

 新体制の初陣となった当日。会場ではSU-METALとMOAMETALに加えて、3人のパフォーマーを招へいする“アベンジャーズ”の仕組みが告げられたが、かつてみられたトライアングルのフォーメーションを復活させたステージで、鞘師の存在に気が付いたファンからはどよめきが上がっていた。

 しかし、彼女たちの出会いは決して偶然ではなかった。現状、鞘師が合流するまでの経緯は公式に明かされていないが、そのルーツには、SU-METALと彼女が幼い頃に共に研さんを積んだ養成所「アクターズスクール広島」(以下、ASH)がある。

 Perfumeや乃木坂46の元メンバーでありSU-METALの姉でもある中元日芽香、ハロプロのグループ・Juice=Juiceの段原瑠々などを輩出したASHは、養成所の名門として知られている。SU-METALと鞘師も同様のレッスンを受けていたメンバーであり、正確な時期は不明だが、養成所内ではユニットを組み一緒に活動していた経験もあるという。

 さらに、もう一つ浮かび上がる接点は、アイドル界の一時代を支えながらも12年間の活動に終止符を打ち、2017年6月に惜しまれつつも解散した℃-uteの元メンバー・鈴木愛理の存在である。

 じつは、MOAMETALはかねてより鈴木を“憧れの人”と公言しており、さくら学院で“菊地最愛”として生徒会長を務めていた当時に、タワーレコードで行われたイベント『南波一海のアイドル三十六房』で彼女のモノマネをして底知れぬ愛をアピールする場面もあった。

 さらに、2013年12月に幕張メッセイベントホールで行われた『LEGEND “1999” YUIMETAL & MOAMETAL 聖誕祭』では、タイトルに冠された二人が生まれた年にちなみ、メタルアレンジを施した「ちょこっとLOVE -BIG TIME CHANGES ver.-」や「LOVEマシーン -FROM HELL WITH LOVE ver.-」を披露するなど、ハロプロとの不思議な繋がりがみられていた。

鞘師の登場で生まれた異なるファン同士の交流

 2018年11月末をもって、鞘師は前所属事務所であるアップフロントプロモーションを退社している。以降はフリーとして活動しているが、アイドル界を俯瞰してみると、一大勢力でエースとして活躍していたメンバーが、別勢力のグループへ合流するというのも異例中の異例だ。

 ただ、BABYMETALが“アイドルかメタルか”という議論はさておき、昨年をピークに卒業や解散が相次いだアイドル界にとっては、彼女がBABYMETALへ合流したことでファン同士によるある種の“希望”ともとれる交流が生まれつつある。

 Twitterを中心に、彼女がBABYMETALのステージへ立って以降は、それぞれのファン同士がたがいに情報交換を図る様子もみてとれる。一方は、BABYMETALのピンチに駆けつけた“救世主”として。もう一方は、長らく表舞台に姿をみせていなかった鞘師の世界を拡げてくれた存在として、共に尊敬の念を抱きながら彼女たちの活躍を見守るファンたちも少なくない。

 今年6月にイギリスで行われた大規模フェス『Glastonbury Festival』へBABYMETALが出演した際には、掲示板「Reddit」をはじめ海外からも多くの反響が寄せられていたほか、現地発の音楽雑誌「Kerrang!」も直後に「New Member Appears With BABYMETAL At Glastonbury?(グラストンベリーでBABYMETALの新メンバーが登場した?)」と題した記事をWeb版にアップ。ステージの写真と共に、鞘師の存在について言及した。

 そして今後、彼女が一翼を担う存在としてどう活躍するかも期待されるが、BABYMETALは8月の台湾や国内でのフェス出演を経て、9月からは自身初となる現地のアリーナ公演を含むアメリカツアーへ。さらに、11月に開催する国内での単独公演をきっかけに、10月に発売される3rdアルバムのタイトルを冠した『METAL GALAXY WORLD TOUR』をスタートし、来年2月からはみたび海外へと渡ることが示唆されている。

 今はまだ、3人目の“アベンジャーズ”が明かされていないものの、もう一人の藤平華乃にも、さくら学院で歴代の生徒会長を務めた者同士が競演するというドラマが生まれている。それぞれのパフォーマンスからにじむ関係性を噛み締めながら、彼女たちの行く末を見守るならば“今”を追うしかない。

■カネコシュウヘイ
編集者/ライター/デザイナー。アイドルをはじめ、エンタメ分野での取材や原稿執筆を中心に活動。ライブなどの現場が好きで、月に約数万円はアイドルへ主に費やしている。単著に『BABYMETAL 追っかけ日記』。執筆媒体はWeb『ダ・ヴィンチニュース』『クランクイン!』『ウレぴあ総研』、雑誌『日経エンタテインメント!』など。

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