菅田将暉、石崎ひゅーい、土岐麻子……鋭いクリエイティビティ発揮するトオミヨウに注目

 土岐麻子も2017年の『PINK』、2018年の『SAFARI』でトオミヨウと全面的にタッグを組んでいる。この二枚で土岐は自身の愛する「シティポップ」を現代的な感覚で再解釈した都会的なサウンドを展開。いわゆるネオシティポップやシティポップリバイバルとは距離を起きながらも、「シティ」の精神を受け継ぐ名盤と言っていいだろう。土岐とのタッグでは、石崎ひゅーいとのタッグとは異なり、エレクトロニックなサウンドで統一されているのがひとつの特色。しかし、シンセサイザーの音色をある曲ではダンサブルに、ある曲ではしっとりと鳴らすニュアンスの妙が楽曲に豊かなバラエティを与えている。

 個人的な嗜好から言うと、音数を絞ったミニマムな編曲に、浮遊感のあるパッドやリバーブでふくよかな奥行きを与える「Fancy Time」や「Blue Moon」(いずれも『PINK』収録)、また「mellow yellow」(『SAFARI』収録)といった楽曲に、とりわけ行き届いた仕事の丁寧さを覚える。いずれも名曲だ。

 石崎や土岐との仕事からは、トオミヨウが築いてきたミュージシャンとの信頼関係も伺える。たとえば石崎は2016年のインタビュー(参考:girls Artalk)で「プロデューサーであるTOMI YO氏に一任しており、僕からは特別な指示はしていません。完全お任せして、僕は傍観しています…隅の方で丸くなって「どんなんなるかな?」って(笑)。」「[筆者注:トオミの編曲で楽曲のイメージが変わってしまうことも]ありますが…それもそれで楽しめる素敵なアレンジに仕上げてくれるんです。むしろ、TOMI YO氏から返ってくるアレンジを楽しみにしています。」と語っている。トオミの編曲の多彩さに加え、石崎からトオミへのクオリティに対する信頼が伺える発言だ。

 チャートを賑わすヒットソングを支え、またミュージシャンとの共同作業でも鋭いクリエイティビティを発揮するトオミの活躍を目にする機会は今後より増えていくのではないだろうか。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる