マキシマム ザ ホルモンがライブハウスに帰ってきた 復帰ツアー最終公演で放った尋常じゃない熱量
セットリストは、僕が観た3本とも約半分は毎回違う内容だったが、その中でもこの日はちょっとコア度が高い感じ。新曲の「maximum the hormone Ⅱ」も、「G’old~en~Guy」も、これまでのホルモンにはありそうでなかったアレンジや曲展開が新鮮。ダイスケはん、「爪爪爪」でパッドを叩いたり、「G’old~en~Guy」ではシンセを弾いたり、先述の「maximum the hormone Ⅱ」ではナヲちゃんの脇で一緒に踊ったりと、愉快なMC&すさまじいスクリーミング以外でもいろいろ活躍している。
3台のミラーボールが華やかに回る中、「恋のスペルマ」で本編が終了。アンコールは、ナヲちゃんがフロントに出て「ドンキで買った」赤いスカートを穿き、「1,2,3,4おじさん」に扮したダイスケはんがドラムを叩く「拝啓VAP殿」でスタート。ナヲちゃん、サビのダンスも、2コーラス目のAメロで不機嫌な顔で亮君と上ちゃんのサングラスをむしり取るところも、同曲のMVをトレースしてみせる。
そして「ROLLING1000tOON」「上原〜FUTOSHI〜」をプレイ後、「このツアー、今日で終わりですけど、<SEASON 1>ということは!」と、<SEASON2>があることを発表する。その喜びも相まってか、ラストの「恋のメガラバ」に合わせて腹ペコたちから起こったシンガロングとハンドクラップ、今日イチの、えぐいくらいのボリュームだった。
ダイスケはんのヘルニアが悪化して当分ライブができなくなる、しかも当初はすべてのフェス出演が終わってからそれを発表して休むつもりだったが、数本を残した状態でドクターストップがかかって、キャンセルせざるを得なくなったーーというマイナスな状況を、レーベル移籍および新作リリースの情報と一緒に、ダイスケはんの病状を鑑みて「スクリーミング&ヘドバンなし」の新曲と同時に発表する。
昨年9月のホルモンの、まさに「転んでもタダでは起きない」手腕には唸ったが、この復活ツアーにはそれ以上に唸らされた。アイデアの見事さ以上に、ライブの現場における肉体の爆発がとんでもなくて。
ライブ休止期間も、リリースとかイベントとか記者会見とか、「マキシマム ザ ホルモン2号店」プロジェクトとかでいろいろ動いていたので気がつかなかったけど、ライブをやれないというのはこの人たちにとって本当にストレスなんだなあ、逆にライブをやれるというのは本当にかけがえのないことなんだなあ、という事実を、改めて突きつけられた気がした。あたりまえか。いや、あたりまえなんだけど、だとしても。
このあとのホルモンは、エグいくらい夏フェス出まくって(6月28日時点で発表されているだけで14本)、後半はそれと並行して<SEASON 2>がスタートする。
(写真=浜野カズシ)
■兵庫慎司
1968年生まれ。音楽などのライター。「リアルサウンド」「DI:GA ONLINE」「ROCKIN’ON JAPAN」「週刊SPA!」「KAMINOGE」などに寄稿中。