TXT、BTSとは異なるベクトル=“アメリカンアイドルの王道”へ 大胆な手法をサウンドから分析
韓国発のニューフェイス・TXT(TOMORROW X TOGETHER)の勢いが止まらない。
ヨンジュン、スビン、ボムギュ、テヒョン、ヒューニング・カイからなるこのボーイズグループは、“BTSの弟分”というキャッチーなフレーズで2019年3月に登場。1stミニアルバム『夢の章: STAR』は受付を始めて3日で予約販売枚数10万枚を超え、同アルバムのリードトラック「ある日頭から角が出てきた(CROWN)」は、いきなり主要ヒットチャートの上位へ。海外での反応も良く、アメリカをはじめ、メキシコ、ブラジルといった中南米、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などの中東、そしてアジアやヨーロッパなど、世界中のいたるところで好成績を収めている。
彼らはBTSのスタイルを踏襲してブレイクしたわけではない。「異なる君と僕がひとつの夢で集まって、一緒に明日を作っていく」という意味のグループ名から連想される通り、メンバー5人はいずれも明るく前向きなイメージを持つ。初期のBTSのワイルドな雰囲気とは異なり、健康的な魅力をストレートにアピールしているのが印象的だ。
サウンド的にはどうだろうか。『夢の章: STAR』を聴く限り、こちらの方もBTSの影響はさほど感じられない。前述の「ある日頭から角が出てきた(CROWN)」は爽やかなシンセポップであり、BTSのデビュー曲「NO MORE DREAM」のようなヒップホップ的感覚はほぼゼロだ。むしろ、New Kids On The BlockやBackstreet Boys、*NSYNCといったアメリカのポップスターの音作りに近いかもしれない。
現時点では1stミニアルバムと同作に収められている曲の別バージョンしかリリースしていないので断言はできないが、前述のアメリカンアイドルを意識した路線が好評なため、しばらくはこのカラーを維持していくと思われる。とはいえ、守りに入らないのがBTSの後輩らしいところ。彼らの歌とダンスが短期間で急成長している点を見逃してはならない。
デビュー当初はキレの良さとボーイッシュな魅力を強調したステージだったが、5月3日に配信された「Cat & Dog(English ver.)」では、トラップをベースにした緩急をつけたアレンジに見事に対応、さらにコミカルな演出を交えるなどして見ごたえのあるパフォーマンスを披露している。