K-POPはなぜ世界的ブームとなったのか? 世界最大級のK-Cultureフェス『KCON』仕掛け人に聞く

『KCON』仕掛け人インタビュー

「韓国は企画段階でグローバルマーケットを対象にしている」

ーー現在、世界的にK-POPブームが起きていると言われています。その要因や理由についてどうお考えですか?

キム氏:K-POPには我々も昔から力を入れていますし、世界的にも競争力があったから今のブームにつながったと考えています。個人的な意見ですが、K-POPそのものが持っている力だけに起因しているわけではなく、カルチャーのマーケットの幅が広がったのが根本的な理由だと考えています。以前まではグローバルに人気のあるコンテンツは非常に限られたものでした。例えばハリウッド映画。高いクオリティや面白さがある特定のコンテンツにみんなが食いつき、それがグローバルに楽しまれていた。最近はコンテンツが多様になっており、クオリティが高く共感が得られれば、K-POPに限らず、J-POPなど全ての文化が世界的に楽しまれる対象になると思います。もちろん、クオリティが低ければその選択肢に入ることすらできないですが。

ーーでは、日本と韓国の音楽市場の違いについてはどのように見ていますか。

キム氏:私自身、日本でのビジネスを長くやっていますが、日本と韓国はビジネスを構想する時の出発点が異なります。もちろん、音楽ビジネスも同じです。最近は日本も変わってきているように思いますが、韓国は企画段階でグローバルマーケットを対象にしています。韓国で売れてから海外に進出する、という考え方ではなく、韓国もグローバル市場の一部ということで、最初から中国、日本、アメリカ、ヨーロッパ全てを視野に入れ、全てのマーケットで売れるものを企画しないといけないという考え方です。日本は内需がしっかりしていて、特に音楽に関してはアメリカに次いで世界2位の市場規模を誇っているとも言われています。だから、日本のマーケットで成功すれば、それを土台に世界に進出できるという考え方です。つまり、日本ではまず国内のマーケットを狙っても十分な収益を得られますが、韓国では国内市場だけを見ていては最初から高いクオリティのもの、グローバルサイズのものが作れないという違いがあります。

ーー『KCON』のお仕事もあり、世界各国を回っていると思いますが、最近刺激を受けたイベントやコンテンツはありますか。

キム氏:仕事柄様々な事例を見ていますが、最近注目しているのはマイアミで先日開催されたEDMフェス『Ultra Music Festival』。韓国でもEDM関係のコンテンツが多くあるので、今後は『KCON』とEDMを融合させ、例えば『K-EDM』を開催できるのではないかと思います。また、9月、10月に開催された『GirlsAward』や『東京ガールズコレクション』などは日本独自のものとして、ここ数年間注目しているコンテンツです。3月に開催された『SXSW』は音楽とITを融合させたイベントとして興味深いと感じています。そしてBLACKPINKが参加したアメリカ最大のフェス『コーチェラ』。ラインナップがバラエティ豊かで、トレンドの変化もわかる。フェスは市場のトレンドに合わせて徐々に変わっていると思います。プロモーターなどと情報共有しながら音楽やフェスのトレンドの変化に注目し、お互いWin-Winにできるコンテンツを作っていきたいですね。

ーー『KCON』では今年から新たに『KCON GIRLS』が始まりましたね。

キム氏:日本で初めて導入したコンテンツで、ファッションとビューティが中心です。『KCON』ではK-POPが中心になっていたのですが、ファッションやビューティへのニーズも高まっていると考えていました。それを踏まえ、ビジネスとしてだけでなく、文化として楽しむ土台を作りたかったんです。重要な1つのコンテンツとして位置付けられればと思います。ファッションやビューティに関連する企業も日本に参入したいと考えているが、ほとんどが大企業ではなく中小企業で、自力で参入するのが難しいので、『KCON GIRLS』を通じて観客も楽しめ、ビジネスチャンスを得られるというメリットのあるものになっています。

ーーでは最後に、『KCON』を通じて実現したいことを教えてください。

キム氏:特定のジャンルやパートに偏らず、世界中の関心・興味を持っている人たちのために、K-Cultureを様々な形で提供したい。そういった方々に向けて深みがあり、幅広いものを提供するのが大きな目標です。何をどんな国に先に紹介するのかは継続的に考えているところですが、韓国に来なくても年に1回は自国でK-Cultureを楽しめるコンテンツや場を提供するのを目的にしています。もちろんビジネスとして行なうものなので、どう成果を得るかも考えながら、今後も積極的に展開していきたいです。

(取材=尹秀姫/構成=村上夏菜/メイン写真=「KCON 2019 JAPAN」ⓒ CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved)

■オンエア情報
『KCON 2019 JAPAN × M COUNTDOWN』
【字幕なし版】5月30日(木)18:00~ ※日韓同時放送
【字幕あり版】6月27日(木)23:15~ほか
CS放送Mnetと日本初の韓流専門動画配信サービスMnet Smartで放送&配信

『KCON 2019 JAPAN』公式サイト

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