DEZERTとアルルカンはヴィジュアル系の“二大巨頭”に? 2年半ぶりの『ダブルラリアット』を見て
X JAPANとLUNA SEA、DIR EN GREYとPIERROT、the GazettEとNIGHTMAREのようにヴィジュアル系にはいつの時代も二大巨頭と呼ばれる存在がいた。現在、若手の中でその系譜を継ぐ可能性を持つバンドがDEZERTとアルルカンである。好敵手とも盟友とも違う絶妙な信頼関係でつながるこの2バンドによるツーマンイベント『ダブルラリアット』は、『ダブルラリアット2019』として今回で3回目を迎え、今年は東名阪で開催された。
前回はお互いに勢いが出ていたタイミングではあったが、2バンドとも“変わらなければいけない”という意志の元行われ、DEZERTはその後これまでのラウドなサウンドにスクリームを乗せるというアプローチを一切封印し、“歌と言葉”を聴かせるという真逆のアプローチでアルバム『TODAY』をリリース。アルルカンは作品において“生きる”ことへの捉え方をよりポジティブに打ち出すようになった。あれから約2年半、DEZERTとアルルカンが賛否両論ある中でなぜ、このように変化したのかを確かめるべく3月28日にツアーファイナルが行われる新宿BLAZEへ向かった。本稿ではこの2年半での“変化”にフォーカスしてレポートをする。
先攻はアルルカン。登場するなり暁(Vo)がマイクで胸を強く叩き、重厚な「僻目」で幕を開けた。続くファストナンバー「MAZE」でライブのギアを一気に入れ、フロアからも一斉に声があがる。世界との価値観のズレから生じる痛みや迷いを歌うアルルカンらしいセットリストの流れは〈お前が普通か?〉と問う「ハッピーセット」へと続き、「僕たちが今日この場所を選んだのは単なる憂さ晴らしじゃない。幸せになるためなんだから」と暁が叫ぶとフロアの声がさらに大きくなったのを感じた。
中盤に演奏されたミドルナンバー「カルマ」では〈少しずつ見える世界が変わったのは僕が変わった所為だ〉と歌い、さらに「Always」で〈変わる事を恐れないで〉とメッセージを送った。また、この曲では同時に〈それでも僕は明日を信じたい〉とも歌っており、「お前たちの欲しいものはこの夜にある」と始まった「消えてしまいたい夜に」では明日に対する自問自答を繰り返す悩める夜を、それが明けていく様を続く「暁」で表現してみせた。そしてその痛みを誤魔化すことなく向き合った先に心から望む明日があると彼らは「Rem」を叩きつける。
「お前らまだ全然本気出してねぇじゃねぇか! 準備はいいか!!」と暁が啖呵を切りラストスパートとして「omit」を演奏すると、フロアは最後列まで一糸乱れぬヘッドバンギングで応戦。さらにキラーチューン「ダメ人間」で暁は「自分にしか出来ないことをやろう。人がやってることなんて関係ない。お前のやり方で答えてくれ!!」とフロアに投げかけると、フロアの熱量がさらに上がったのがわかった。
「決められてるものは何一つないから。正解も、答えも、救いも、何もないです。あるのは、自分で決めたことだけです。その自分の決めたことから逃げないように、負けないように、戦うための曲を送ります」とラストに演奏されたのは最新シングル「ラズルダズル」。守りたいものを守るために闘い続けることを決めた彼らの決意こそが「ラズルダズル」の〈“変わらない為に変わっていく”〉という歌詞であり、アルルカンの“変化”への答えそのものだったように思う。