sumikaが追求する音楽活動という名の“家づくり” 新作『Chime』で踏み出した新たな一歩
「住処っていうのはね、心地よさなんだよ」「そこに人に対するぬくもり、そして楽しさがある」。そう語るのは、建築家の天野彰。このVTRは、sumikaという名前のバンドが新アルバム『Chime』リリースを告知するためのTVスポット映像である。しかしこの事前情報を知らない人ならば、住宅メーカーのCMだと勘違いしてしまうことだろう。
昨日の #ミュージックステーション 放送中にトレンド入りした
「sumikaのCM」😎Ⓜ️そう、CMだけでトレンド入りしまった #sumika、
その驚きの映像、全貌を公開です…😝🏡#2ndアルバム #Chime #3月13日発売 #天野彰 #建築家 #心地よさhttps://t.co/dlByoe2fnQ pic.twitter.com/MiwAw1RSIC— ソニー・ミュージックレコーズ (@SMR_info) March 9, 2019
実際sumikaは、天野氏が語る住まいにとって大切なもの――チーム内の心地よさ、人としての血の通ったぬくもり、ファンとともに“sumikaというプロジェクト”を作り上げる楽しさを大切にしながら歩んできたバンドだ。例えば、YouTubeにアップされている動画「sumika / 結成5周年のご挨拶」で紹介されている、<GREEN ATTiC>設立に始まるチームの変遷。2014年に行った、プロアマ問わず、sumikaの楽曲に自由に映像を付けることのできる「Niwa cinema」という企画。リスナーに対し何か伝えたいことがある時、ビデオレターを通じてメンバーの口から直接伝えていくやり方。これらの取り組みからは“本当に好きなものを、好きな人に向けて、たくさん渡せるチームを作れるように”という信念を守るため、自分たちのやり方を一人ひとりに伝えながら、丁寧に輪を拡大させていくバンドの在り方が見えてくる。
また、そのような温度感はライブにおいても大切にされている。片岡健太(Vo/Gt)は観客に対し、あなたの手拍子も声も目線も表情楽器に変えたいのだと語りかける。ステージ/客席の垣根を越え、会場全体で“合奏”しないかと持ちかける。昨年7月には初の日本武道館公演を行ったが、広い会場は終始温かい空気に包まれていた。人肌の温度が感じられるようなアットホームさこそがsumikaの持つ大きな魅力なのだ。(参考:sumikaの歌は、いつも“みんな”の傍にあるーー日本武道館公演で確かめ合ったファンとの絆)
sumikaは変わらずここに在り続ける。だから、つらい気持ちになってしまったら「ただいま」と言いながら帰ってくればいいし、勇気を蓄えることができたなら「行ってきます」と言いながらドアを開けるといい。住まいとしての家と同様、sumikaはそういうバンドなのだと、彼らは楽曲における歌詞、インタビューやライブのMCにおける発言などを通じて発信してきた。2017年7月にリリースした1stアルバム『Familia』もまさにそのことを伝えるような作品だった。