ヒトリエ、ボカロシーン発の“源流”としての存在感 アルバム『HOWLS』にある興奮の方程式

ヒトリエ、ボカロシーン発の“源流”としての存在感 アルバム『HOWLS』にある興奮の方程式

 先日当サイトに寄稿したキュレーション原稿でも書いたが(参考:長谷川白紙、中村佳穂、King Gnu……柴 那典が選ぶ、2019年期待のニューカマーベスト10)、2019年の今、ネットカルチャー発の才能が日本のロックを、そしてポップミュージック全体のシーンを目覚ましく更新している状況にある。

 Eve、須田景凪(バルーン)、ヨルシカ、神山羊など、2000年代から2010年代以降のボカロ文化が育んだ才能が次々と世に登場している。初音ミクが登場した2007年から2012年頃までの5〜6年を勃興期と位置づけるならば、そこから時を経て、ボカロがBUMP OF CHICKENやRADWIMPSなどのロックバンドの系譜に結びつき日本独自のユースカルチャーとして根付いてきた結実が表れはじめている。

 言うまでもなく、ヒトリエはその源流となる存在だ。wowaka(Vo/Gt)は2009年にニコニコ動画への投稿を始め、その後のボカロシーンに高速で高密度な楽曲が増え一つの潮流を作り上げるきっかけとなったクリエイターの一人。シノダ(Gt/Cho)、イガラシ(Ba)、ゆーまお(Dr)も、それぞれネット上で表現活動をするところから音楽を始め、ネットを介してwowakaに出会ったという経歴の持ち主だ。

 wowakaが影響を受けているバンドの一つに最近再結成を発表したNUMBER GIRLが挙げられるのだが、向井秀徳(Vo/Gt)を中心に田渕ひさ子(Gt)、中尾憲太郎(Ba)、アヒト・イナザワ(Dr)という個性の強く切れ味鋭いプレイを繰り広げるメンツが集まったバンドという意味で、ヒトリエとNUMBER GIRLに共通点を見出すこともできる。違うのはNUMBER GIRLが90年代末の福岡のライブハウスシーンの猛者が集ったバンド、ヒトリエが00年代末のボカロシーンの猛者が集まったバンドであるという、時代と世代と環境の差だ。

 8年前。ヒトリエを結成する前のwowakaは、2011年春にインターネット発のレーベルとして発足したインディーズレーベル<BALLOOM(バルーム)>の設立第1弾として、アルバム『アンハッピーリフレイン』をリリースしている。

 同レーベルからは、wowakaと同時期に「ハチ」名義でニコニコ動画への楽曲の投稿を始め、wowaka自身もたびたび「戦友」と語る米津玄師による初のアルバム『diorama』もリリースされている。

 今はなくなってしまったそのホームページには、まるで檄文のようなフレーズが書かれていた。

“日本の音楽シーンは終わった”
“**年のシーンが一番熱かった”
本当にそうでしょうか?
私たちは知っています。
この広大なネットの中に熱い情熱を持った音楽がたくさん埋もれていることを
音楽シーンが熱くないと言われている今でさえ、私たちは音楽が大好きで仕方がないんです。
(中略)
2011年“から”の音楽シーンが一番熱い。そう思ってもらえるように。

 今になって振り返ると、とても感慨深い一文だ。

 たしかに、2011年“から”の音楽シーンが一番熱かった。

 価値観の転換が起こりつつある2019年の日本の音楽シーンにおいて「ロックバンドが格好よくあるためには何をどう研ぎ澄ますべきか」という意識を改めて音に込めたようなヒトリエの新作を聴きながら、改めてそんなことを思ったりもする。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

■リリース情報
ヒトリエ『HOWLS』
2019年2月27日(水)発売
初回生産限定盤[CD+DVD]¥3,400+税
通常盤[CD]¥2,600+税
<CD>
1. ポラリス
2. 伽藍如何前零番地
3. コヨーテエンゴースト
4. SLEEPWALK
5. 殺風景
6. November
7. LACK
8. Idol Junkfeed
9. 青
10. ウィンドミル

M1「ポラリス」
テレビ東京系アニメーション「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」
2018年10月クールエンディングテーマ

<DVD収録内容>
1. コヨーテエンゴースト -Music Video-
2. SLEEPWALK -Music Video-
3. 青 -Music Video-
4. アンノウン・マザーグース 2018.3.25 LIVE at EX THEATER ROPPONGI
5. 特典映像:omake movie

購入者特典
TOWER RECORDS / TOWER RECORDS ONLINE:「HOWLSピックキーホルダー」
Amazon.co.jp:「HOWLSクリアファイル」
対象店舗限定特典:「HOWLSステッカー」
※各特典のプレゼントは先着順。 なくなり次第終了。

■ライブ情報
『ヒトリエ TOUR 2019 “Coyote Howling”』
3月1日(金)大阪 心斎橋 BIGCAT  OPEN 18:00 / START 19:00
3月9日(土)三重 松阪M’AXA OPEN 17:30 / START 18:00
3月10日(日)静岡 Sunash OPEN 16:30 / START 17:00
3月16日(土)広島 セカンド・クラッチ OPEN 17:30 / START 18:00
3月17日(日)香川 高松 DIME OPEN 16:30 / START 17:00
3月21日(祝・木)石川 金沢vanvanV4 OPEN 16:30 / START 17:00
3月23日(土)愛知 名古屋 CLUB QUATTRO OPEN 17:30 / START 18:00
3月30日(土)新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE OPEN 17:30 / START 18:00
4月7日(日)岡山 CRAZYMAMA 2nd Room OPEN 16:30 / START 17:00
4月21日(日)北海道 SPiCE (ex.DUCE SAPPORO) OPEN 16:30 / START 17:00
5月11日(土)福岡 DRUM Be-1 OPEN 17:30 / START 18:00
5月12日(日)鹿児島 鹿児島SRホール OPEN 16:30 / START 17:00
5月25日(土)宮城 仙台 darwin OPEN 17:30 / START 18:00
5月26日(日)岩手 盛岡 the five morioka OPEN 16:30 / START 17:00
6月1日(土)東京 新木場 STUDIO COAST OPEN 17:00 / START 18:00

■関連リンク
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