ORANGE RANGEの音楽を追求する姿勢とファンとの信頼 『ELEVEN PIECE』NHKホール公演

ORANGE RANGE『ELEVEN PIECE』レポ

 「バンドのその時代、時代が表れるのがアルバム。時代に合わせるのではなくて、やりたいことを追求、実験できるのがアルバムの醍醐味だ」とHIROKIはMCで語った。そして「リリースするまで受け入れてもらえるか、不安もある。こうしてライブが始まって、みんながひとつになって楽しんでくれることは制作欲につながるし、バンドのモチベーションになる」と続ける。またメンバーによる使えない(?)沖縄の言葉講座をしたり、熱い話も笑いもいい具合にミックスしたORANGE RANGEらしさを全開にして、後半は『ELEVEN PIECE』収録曲とヒットチューンを畳み掛けて、会場のボルテージをグイグイと上げていった。ハードコアチューン「ワジワジ feat.ペチュニアロックス」で観客のコブシを突き上げさせると、その勢いを加速させるように「イケナイ太陽」から「上海ハニー」という反則的な流れに突入。歓声がいちだんと大きくなって、「上海ハニー」ではカチャーシーを踊ったり、大合唱が起こして、ラストは『ELEVEN PIECE』のパワフルなシンガロング曲「大きな夢の木」へ。10数年愛され続ける「イケナイ太陽」のようなヒット曲も、最新の曲も、同じようにシンガロングが起こり、曲に合わせて合いの手や手拍子が沸く。ファンは、“時代に合わせるのでなく、やりたいことを追求するORANGE RANGE”を信頼しているというのがよくわかる。バンドとしてこれほど幸せなことはないだろう。

 アンコールではゴスペルチームのゴスペルスパークルとともに「Family」をプレイし、最後は「以心電信」で爽やかに、会場一体の歌の旋風を巻き起こしてツアーを締めくくった。

(文=吉羽さおり/写真=平野タカシ)

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