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アルバム『ELEVEN PIECE』インタビュー

ORANGE RANGEが語る、音楽を“更新”していく面白さ「スタンスや感覚はこの先も変わらない」

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 前作『TEN』から3年ぶり、通算11作目となるアルバム『ELEVEN PIECE』が完成した。『TEN』は、バンドサウンドと打ち込みを自在に行き来しながら、ひねくれたポップ性や言葉遊びをちりばめ、つい口ずさみたくなるキャッチーな歌も聴かせる、ORANGE RANGEならではの“節”を作り上げた作品だったが、今作もまた遊び心満載だ。そして何より、バンドでありながら、どんどんその定型をぶち壊して、やりたい曲をやりたいように、フリーダムに表現している今のORANGE RANGEは、とても面白い。

 それぞれ個性の強いトリプルボーカルという武器は磨きがかっているし、サウンド面でも進化・深化を遂げているが、その佇まいや音楽への向き合い方には、気負いみたいなものがない。いつも軽やかで、時には飄々とハードコアなサウンドを乗りこなしたり、ファンキーなグルーヴを生んだりする。でも、なんでもありの器用さやセンスを光らせているというよりは、どこか不器用なまでのこだわりも感じる。ORANGE RANGEって一体なんなのか、そのこころを解こうとするほど、するっとかわされたり、訳がわからなくなる。今作も、聴けば聴くほど面白くて、なんじゃこりゃ? という連続を抱く作品。結成15年を超え、アルバムにして11枚目となる今作。今なお生態が謎ないきものとしてバンドの進化を続ける5人に話を聞いた。(吉羽さおり)

スクラップ&ビルドの精神(NAOTO)

ーー『TEN』以来、約3年ぶりのアルバムが完成しましたが、今回はバラエティに富んだ前作以上に、それぞれの曲が振り切っていて、型にはまらないORANGE RANGEならではのアルバムとなりました。この作品には、どんなふうに向かっていったのでしょうか。

NAOTO:『TEN』からの流れはあったかな。そこからの延長線上というか。

ーー前回『TEN』というアルバムを作ってみて、自分たちでわかったことや楽しさがあったんですか。

NAOTO:『TEN』は1枚のなかで、バンドサウンドのもの、そうではないもの、その間のものが、バランスよく出たアルバムで気に入っていて。今回もそういうのがいいなとは思っていましたね。

ーーバンドサウンドはもちろんですけど、打ち込みだけで完結している曲があったり、ある種バンドっていう形や観念にこだわりなく、面白いものをという感じがありますよね。その、バンドじゃなきゃいけないっていうのを取っ払えたのは、何が大きかったのでしょう。

NAOTO:単純に好きなんですよね、バンドじゃない音も。ORANGE RANGEは、早い段階からそういうことをやっていたバンドだったから、今もそれが普通というか。

YAMATO:もともとデビュー時から、バンドサウンドにとらわれず曲を出してきたので。バンドサウンドだろうが、クラブサウンドだろうが、なんでもありがORANGE RANGEというのは、ずっとある部分ですね。それが『TEN』で象徴的にというか、バリエーションがわかりやすい表現になっていたんですけど。今回は、その『TEN』からの流れと、今の流行りを詰め込んだアルバムになったのかなと思います。

ーー『TEN』では、意識的にそうしようというのはあったんですか。

NAOTO:そうですね。『TEN』の前に、すべて打ち込みの『NEO POP STANDARD』(2012年8thアルバム)と、逆にシンプルにドラム、ベース、ギターというバンドサウンドでの『spark』(2013年9thアルバム)という2作のアルバムを出していて。『TEN』ではそれを一緒にした感じでしたね。一緒にすれば、その間のサウンドも生まれるし。この3作品は連携している感覚です。

NAOTO

ーーそして今作『ELEVEN PIECE』はその進化形であり最新形ということですね。アルバム曲としては、どのあたりの曲が最初にできていったのでしょう。

HIROKI:2曲目の「センチメンタル」は、沖縄バヤリースのCMソングになった曲で、2年前にはオンエアされていたんです。その間にも、EP『UNITY』が出たり、配信で「Ryukyu Wind」と「Hopping」をリリースしたり。「センチメンタル」は今回やっと音源として形にはできたんですけど、『UNITY』とも同時進行でやってたから、着手していたのはもう2年以上前かな? 

NAOTO:いつも、明確に“ここからがスタート”っていうのはないんですよね。ゆるりとはじまって、ゆるりと終わるというか。すべてが同時進行で、いついつスタジオに入りますというのはなくて、気が向いたらっていう感じなんです(笑)。だから、インタビューで困るんですよね。いつから作っていたんだっけなっていう。気づいたら、アルバムになっている感じなので。

ーーそうでしたか。1曲目の「Ryukyu Wind」はFC琉球の応援ソングということですが、応援歌だけどポップなシンセチューンになっているのが面白いですよね。

HIROKI:“サッカー”が、ひとつのコンセプトではあったんですけど、いかんせんリーダー(NAOTO)は、スポーツがそんなに得意な方ではないので。漠然としたイメージで制作していったと思うんです。だからコーラスでも、「オーレ、オーレ、オー」って言ってますし。

ーーJリーグ発足時くらいの、サッカー応援歌の定番中の定番フレーズというか(笑)。

HIROKI:今それは使わないだろうっていうところを、逆に持ってきたところに面白みがあるし(笑)。単純にスケールが大きい楽しい曲で、歌詞の内容もサッカーだけじゃなく、頑張っている人の背中を押すメッセージも含まれた曲ですね。今は、とくにFC琉球の応援歌でとは言わずに、フェスとかでもやっているんですけど。楽曲の力があって、お客さんが一緒にコーラスしてくれる曲になってます。

HIROKI

ーーアルバムの1曲目を飾るのも、そういう普遍的なパワーがあるからこそですね。またポップでミニマムなテクノチューンの「Destroy Rock and Roll」は、どういう発想から生まれた曲ですか。

HIROKI:これはあれでしょ? 『シン・ゴジラ』。

RYO:リーダーが映画『シン・ゴジラ』を観て作ったらしいです。

NAOTO:『シン・ゴジラ』を観た後に、こういう音の感じとかが出てきたんです。とくに、劇中でこういう音が使われていたわけじゃないんですけど。あくまでも勝手に、イメージした感じですね。

ーー映画からのイメージで“destroy”という言葉も出てきたと思いますが、そこになぜ、“Rock and Roll”がくっついたんですか?

NAOTO:このdestroyは、単にゴジラが何か壊していくというイメージや意味合いではなくて、『シン・ゴジラ』という作品自体が、これまでのゴジラ映画の概念を壊した映画だったんですよね。その思いきりのよさと、でもただ壊すだけじゃなく、すごく素晴らしい内容に仕上がっていて。新たな進化を遂げて転がっていく感じというところから、「Destroy Rock and Roll」に繋がったんです。スクラップ&ビルドの精神ですよね。

ーーロックンロールを更新していくという。

NAOTO:そうそう。

ーー曲調としてはロックンロールではないし、いわゆるバンドサウンドではないものですよね。そこにORANGE RANGEからのカウンター的な意味合いもあったんですか。

NAOTO:それもあるし、ロックンロールっていうのはスタイルじゃなくて精神というか。その、凝り固まったものを壊すという気持ちですよね。

ーー「楽園Paradise」は、トロピカルなムードと沖縄音階が組み合わさった、ORANGE RANGEらしいチルアウト感がある曲で。「Happy Life」はまた全然違って、ストリングスアレンジが美しい歌ものの曲となります。なんでこれだけ振り切った曲ができてくるんだろうっていうのは、すごく不思議でもあるんですよね。

NAOTO:もともと、こういうのにしようっていうのはとくにないんです。すべての曲のつくり方が一緒で、メロディから作るんです。そこからのアレンジを変えているだけなんですよね。レコーダーにメロディを吹き込んでおいて。この前作った曲はこうだったから、今回はこういう曲にしようとかが多いんです。作りはじめて、どこかのタイミングで気に入らなくなったりすると、じゃあ止めようとか、別のにしようとか、そうやっていくうちにいつの間にか、僕が考えてなかった形になっていくというか。

ーー進んでいくと、予想外の扉がどんどん開いていく感覚?

NAOTO:もしかしたら「楽園Paradise」も、もっとバンドサウンドになっていたかもしれないし。ほんと、気持ちひとつな感じです。「Happy Life」も、今の形にたどり着くまでは、2回くらい“これは、違うな”っていうのがあって。

ーーサウンドができあがってから、歌詞を書いていくんですよね。歌詞については、NAOTOさんからのお題的なものもあるんですか。

HIROKI:仮歌詞みたいなものが一応あるんです。それはあくまで仮ということで、取っ払うこともあれば、今回でいえば、そのままサビで引用している曲もあったり。その仮の歌詞の世界観に肉付けしていくという感じが多いですかね。でもせっかく曲に寄せて書いたのに、またNAOTOがアレンジしちゃったりもするんですよ。

NAOTO:(笑)。

HIROKI:それで、またお互いが触発されるというか。インスパイアされてどんどん曲が転がっていく面白さもあります。

ーーなるほど。だからこそ、どんどん曲が転がっていくし、ジャンル的な枠がない、なんでもありな作品になっていくんですね。

NAOTO:“気づいたらこうなっている”というのが多いんですよね。いろんなものがどんどん乗っかるから、実際にやってみるまでどんな曲になるのかわからない。

ーーということでは、サウンドが上がってくるとみなさんも、“こんな曲になったのか?”って驚くところですかね。

HIROKI:最近は、そこまでの驚きはなくなりましたけどね。対応できているというか。それすらも楽しめる余裕が、ある程度生まれているのかなと。

RYO:HIROKIはとくに早いですからね、歌詞を書くスピードが。

      

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