Juice=Juiceが表現した今この瞬間の輝き 8人体制最初で最後のトリプルA面シングルをレビュー

 〈♪微炭酸しゅ~わっ しゅ~わっ〉というフレーズが連呼される印象的なテレビCMを、あなたは目撃しただろうか。曲名は「微炭酸」で、歌っているのはハロー!プロジェクトのアイドルグループ、Juice=Juiceである。

Juice=Juice『微炭酸 / ポツリと / Good bye & Good luck!』

 その曲も収録されたトリプルA面シングル『微炭酸 / ポツリと / Good bye & Good luck!』が2月13日にリリースされた。Juice=Juiceは2013年にメンバー5人でメジャーデビューし、以降はメンバーチェンジすることなく活動し続けてきたが、2017年に2名、2018年に1名のメンバーが追加され、現在は8人組。そして今年3月にはメンバーの梁川奈々美、6月には宮崎由加のグループ卒業が予定されている。今回のニューシングルは、梁川にとって活動最後の、そして8人体制では最初で最後のシングル作品ということになる。この注目作の鑑賞ポイントをレビューしていく。

Juice=Juice『微炭酸』(Juice=Juice[Lightly Sparkling])(Promotion Edit)

 まずはトリプルA面1曲目の「微炭酸」から見ていこう。記事冒頭にも書いたように、サビのフレーズがなかなかにキャッチー。歌詞全体としては、女性主人公の幼なじみである男友達に彼女ができ、自分の恋心が言い出せなくて……という内容で、サウンドはそんな切なさと共鳴したマイナー調のダンス歌謡チックなものとなっている。

 本曲の作詞を担当したのは、シンガーソングライターの山崎あおい。以前も別の記事で書いたのだが(参考:アンジュルム「46億年LOVE」が首位 2018年度『ハロプロ楽曲大賞』で目立つ若手女性作家の台頭 )、近年のハロプロ楽曲シーンに顕著な若手女性コンポーザーの多数起用、その傾向の一翼を担うひとりが彼女だろう。昨年ではアンジュルム「泣けないぜ…共感詐欺」「Uraha=Lover」の作詞作曲が山崎だったが、Juice=Juiceへの楽曲参加は今回が初となる。

 〈微炭酸〉というキーワードは、歌詞中では〈誰にも気づかれない 小さな音で 恋は弾ける〉、あるいは〈気づいたあの日から 弾け切れない私が嫌い〉と、恋を打ち明けられない女主人公の心情を象徴したものとなっている。もちろんそれと同時に、グループ名のジュースともリンクさせるという意図もあるのだろうし、秀逸で面白い言葉使いだ。

 パフォーマンス面から見て特徴的なのは、宮本佳林と稲場愛香のWセンターによる2トップ体制が強調されているという点だろう(歌割的にもこの2人のソロパートが比較的多めだし、MVではこの2人のみ別撮影のイメージショットがある)。J=J結成時からのエース格である宮本と、元々はカントリー・ガールズのメンバーだったが喘息により卒業、そして症状の回復とともにハロプロに復帰し、昨年J=Jへ電撃加入した稲場。アイドル力の高さに定評がある両名の組み合わせはかなり強力なものであり、ファンの間では「まなかりん」とも呼ばれている。実際、昨年上演されたJ=JによるSF舞台『タイムリピート ~永遠に君を想う~』では、女性鉱物学者ルナと、彼女に思いを寄せる男性宇宙物理学者ソーマを、それぞれ稲場と宮本が演じて話題となったし、今月21日発売の『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)ではJ=Jから選抜された宮本と稲場が表紙・巻頭グラビアに初登場と、2人が顔をそろえる機会は多い。楽曲面において「まなかりん」体制を打ち出した最初の一曲が「微炭酸」といえる。

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