Perfume、星野源……演出振付家 MIKIKO、“アーティストらしさ”と“品格”引き出す仕事術

 また、『関ジャム 完全燃SHOW』(2018年4月2日放送回)の『PerfumeのライブどうなってるのSP!!』で挙げられていた特徴の1つが、「(アーティストの)体が楽器の役割を果たしている」ということ。番組では直線や矢印などが書き込まれたMIKIKOの振付ノートなども公開されていたが、さまざまな楽器の音とダンスが細かくユニゾンするような形を取っている振付が多い。Perfumeだけでなく、たとえば激しいメタルサウンドをバックに踊るBABYMETALでは、曲にもよるがスネアやシンバル、バスドラムなどドラムの音に呼応するようなアグレッシブな振りが多く、これがサウンドとの相乗効果で印象に残りやすいとも考えられる。

 『プロフェッショナル 仕事の流儀』の話に戻るが、SNSなどでの番組視聴者の感想で多かったのが、「(Perfumeの振付に)難しいことをさらっとやる賢さや、品を見出したい」というMIKIKOのコメントへの賛辞の声だ。ダンススキルの高いPerfumeをバキバキに踊らせるのではなく、あえて幾何学的なクールさを漂わせる振りにこだわる。椎名林檎と宮本浩次の「獣ゆく細道」には激しさの中にバレエのようなしなやかさをたたえた動きを、BABYMETALの「ヘドバンギャー!!」にはワイルドになり過ぎない“横ヘドバン”を盛り込むなど、いずれもそのアーティストらしさと品格を伴う振付に仕上げている。これはMIKIKO作品に共通するトーンといえる。

椎名林檎と宮本浩次-獣ゆく細道

 ステージ演出までを一括して手がける演出振付家ならではの、美意識とバランス感覚が生み出すMIKIKOの振付。Perfumeらのライブでおなじみの世界最先端を行くクリエイターチーム・Rhizomatiksとのコラボも含め、今後も唯一無二の輝きを放っていくのだろう。

■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集を経て、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。

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