Nulbarich、Nissy、Eve……海外でも通用する可能性を持った日本のアーティストの新作

ドミコ『Nice Body?』

 2018年にはJETの全国ツアーに参加、その直後に『SXSW』Wの出演を含む初の全米ツアーを敢行。国内の主要フェスにも数多く出演するなど、確実に活動のスケールを拡大し続けているドミコ(さかしたひかる(Vo/Gt)と 長谷川啓太(Dr)による2ピースバンド)の3rdアルバム『Nice Body?』。近未来のガレージロックと称すべき「ペーパーロールスター」から始まる本作は、シャープなヘビィネスをたたえたギターサウンドが心地いいミディアムチューン「アーノルド・フランク&ブラウニー」、エフェクトを施したボーカル、サイケデリックに揺れるサウンドがひとつになった「あたしぐらいは」など、独創的なアイデアと生々しいグルーヴがせめぎ合う楽曲が並んでいる。音数よりも音質を重視したプロダクションも、現在の邦楽ロックとは完全に一線を画していると思う。

ドミコ(domico)/ペーパーロールスター(PAPER ROLL STAR)(Official Video)

AAAMYYY『BODY』

 注目のバンド・Tempalayのメンバーでもあるトラックメイカー/SSWのAAAMYYYの1stフルアルバム『BODY』が完成。KREVA、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)も絶賛したトラックメイクの質はさらに向上し、オルタナR&B、ベースミュージックなどを取り入れながら、独自のグルーヴを獲得している。ビートメイク、サウンドの質感以上に印象的なのが、ソングライティングの確かさ。特に「屍を越えてゆけ」における物語性を備えたメロディライン、(怖いタイトルと反し)ロマンチックな喪失感を描いた歌詞からは、彼女の音楽の中心にあるのが“歌”であることがわかるはずだ。憂いと心地よさを同時に感じさせるボーカルにも強く惹かれてしまう。

AAAMYYY "屍を越えてゆけ" (Official Music Video)

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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