petit milady×河谷英夫が振り返る、プチミレ歴代MVに込められた実験的アイデアと結成5年の軌跡
河谷監督は“面白い”を“かわいい”に落とし込んでくれる(悠木)
――今回同様、撮影のたびに曲を聴かれてイメージされていると思うのですが、河谷監督の思うプチミレ楽曲の魅力とは?
河谷:うーん……遊び心かな? MVディレクターとして遊べる要素がいっぱい詰まってるというか、遊びごたえのある曲が多いですよね。まぁ、そんなに振り切ってなくても勝手に振り切っちゃうときもありますけど(笑)。
――たとえば「360°星のオーケストラ」とかは、曲自体には遊び要素がないですからね。
河谷:でも「360°星のオーケストラ」は、「なんで? これ感動しちゃうんですけど!」って打ち震えるがごとく感動しながら編集していました。大体いつもはひとりでオフライン編集してるときも笑いが止まらないんですけど。
悠木:「360°星のオーケストラ」って慣れてくると、よくわかんないけどめっちゃ泣けるんです。でも改めて冷静に観ると、「なんでこの子達『E.T.』やってんの?」って(笑)。
竹達:本当に「なんでやねん!」だよね。でも私が指をケガして碧が「ア・ヤ・チ イ・タ・イ」って言うシーンで、実際はあのとき「う・ど・ん お・い・し・い」って言ってきて!(笑)。よくわかんないセリフをぶっこんでくるから、笑わないで芝居するのが超大変なんですよ!
悠木:いやいや、彩奈も「ゲオルグ」って読んだじゃん?
――「ゲオルグ」?
竹達:“P.T.さん”に絵本で言葉を教えてあげるシーンがあって、“George”って書いてあるところを「これはね、ゲオルグ」って言って。
悠木:私も「ホントに!? でも、ゲオルグかぁ……」って思って「げおるぐ。」って返してたんですけど、次のページめくったらカタカナで「ジョージ」って書いてあるんですよ! それで我慢の限界になっちゃって!
竹達:でも、いち早く吹き出したのは監督でしたよね?
河谷:そうそう(笑)。我慢できなくて撮影中に画面が揺れちゃって……彩奈ちゃんには、誰も勝てないです。
悠木:絶対に仕込んでないやつがきますからね(笑)。
――ちなみにおふたりは、河谷さんが撮られるMVの魅力はどんなところにあると思いますか?
悠木:絶対に、“面白い”をちゃんと“かわいい”に落とし込んで、お茶目にしてくれるんです。それってすごく重要で。ダサいことで笑いを取りに行くんじゃなくて、すごくおしゃれに作って笑いをちゃんと取れてかわいく落とせるっていうのは、バランスがよくないとできないと思うんです。しかもそれを、時間内に撮影して、時間を巻いて終わらせてくれるって、めっちゃすごいと思うんですよ! いつも思うんですけど、たとえば時間をかけて一筆一筆置いていったら、素人さんでもモナ・リザを描けると思うんです。でもあれってあの期間内にちゃんとモナ・リザとして出来上がってるからすごい絵なわけじゃないですか? だから、定められた期間と予算と、あと楽曲の中で確実に求めてる以上のクオリティのものを上げられるってやっぱりすごいんだなぁ、って毎回思うんです。
竹達:いま碧が言ってくれましたけど、やっぱり“早い・かわいい・面白い”んですよね。私たちがする突拍子もないことを、面白いだけじゃなくてちゃんとかわいくまとめてくれるのって、本当にありがたいなと思うんです。それに、これだけいろんな曲を出してるのに、全部が全部違うカラーの作品になってるのもすごいなぁと思ってて。やっぱり監督さんにも得意・不得意はあると思うんですけど、河谷さんって、なんでも撮れちゃうのがすごくて。かっこいいのもオシャレなのも、かわいいのも撮れちゃうんだなぁ……と、いつも驚かされます。
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――河谷監督ご自身では、いちばん印象に残っているMVをあえて挙げるなら何になりますか?
河谷:「向日葵の坂道」ですね。あれこそもう本当に、編集してて笑いが止まらなかった(笑)。普通なら、あんなMVを作れるはずがないんですよ。
悠木:私たちよりも、(たかはし)智秋さんと小山(剛志)さんの出てる時間のほうが長かったですしね。
河谷:でも僕、これを撮ったあとにちょっと反省したんですよ。「ちょっとやりすぎたかなぁ」とか「ファンないがしろな感じになっちゃってたかな」とか。それを次のMVの打ち合わせのときに伝えたら、ふたりから「いいんです! 私たちはこれでいいんです」って自信を持って言われて。
竹達:だって、なんの間違いもないですよね?
悠木:うん。間違いはなかった。
河谷:それで「よかったんだ」って思えたし、「かっこいい!」とも思った。
悠木:作ってから考えればいいんです(笑)。
――そうやって一緒にMVを作られていくなかで、おふたりの変化や成長を河谷監督が感じた部分はありますか?
河谷:どうだろう……? 最初から優秀な人たちだったので、あえて言うなら“迷わずプチミレになった”っていう感じですかね。それこそ「100%サイダーガール」(デビュー曲)の頃は、ふたりやスタッフ含めてプチミレの方向性も手探りだったと思うし、ハニワを被ったときは「これ面白いね」って気づいたけど、まだ「これで突き進もう」とは思ってなかった。でもここ1年ぐらいは、ひとつお題を決めたらそこに向かってビュッて行くようになって……だから“petit miladyが板についてきた”感じがします。
――ファンの皆さんは、今後もこのタッグの作品を楽しみにされていると思います。河谷監督は今度は、おふたりとどんなことをやってみたいですか?
河谷:いつも時間のない中で撮ってるから、たまには海外ロケでも行って……エッフェル塔の前で、向日葵かぶってほしいなぁ(笑)。
竹達:行きたい……!
悠木:えっ、じゃあ1日だけ撮影して、あとは遊びません?
竹達:そしたら、オフ日でみんなで遊んだやつを特典にしよう。
悠木:それだ! もしくは、みんなで遊んでるところをMVにするとか(笑)。私たちがひ
たすらハニワをかぶった状態で観光して……あ! エッフェル塔を被ればいいんじゃないですか?
河谷:お、いいね!
竹達:で、現地の人とかと撮影して、現地の人に黒目線入れて……。
河谷:あ、いい、いい……!
悠木:わかった! 現地の人にセルフで黒目線持ってもらえばいいんじゃないですか? で、一緒に「いえーい!」ってやってるのをMVにする、っていうのはどうでしょう?
竹達:……いつもこういう感じなんです。だいたい悪巧みが本当になっていく感じがして。
悠木:「まさか本当になるとは」ってこっちも思うんですけど(笑)。
――おふたりは、今後のMVでやってみたいことはほかにありますか?
竹達:バラードとかめっちゃシリアスな曲で、雰囲気もめっちゃかっこいいんだけど、衣装が全身タイツとか……そういう、なんか突拍子もないことをやりたいです。「360°星のオーケストラ」と「Howling」をやって、「曲よりも、『私たちが何を作りたいか?』なんだなぁ」って思ったので(笑)。
悠木:そうだね。突拍子もないことやりたいよね。でも何が突拍子がないかわかんなくなってきたんだよなぁ。今までもやってなくて、でもふざける余地があるのって……あ、男装! まだやってないし、ふざけられそう。
竹達:たしかに。可能性はまだまだ。
悠木:「女同士でやるBL」みたいな、わけわかんないことやりましょうよ。百合なのかBLなのかわかんないやつ(笑)。
河谷:いいねぇ。それもいいねぇ。
竹達:男装なら、何にでもハマりそうですしね。
河谷:うん。なんだか次のビデオでは、男装してそうな気がします(笑)。
(取材・文=須永兼次)
■プロフィール
petit milady
悠木碧と竹達彩奈による声優ユニット。2013年5月 両A面シングル「鏡のデュアル・イズム/100%サイダーガール」でデビュー。2018年に結成5周年を迎えた。これまでシングル9枚、オリジナル・アルバム5枚をリリース。「Animelo Summer Live 2018 "OK!"」ではシークレットゲストとして出演、人気アニメ「ポプテピピック」とのコラボレーションを披露。”かわいい”だけに収まらない独自の路線を切り開き、人気を博している。
河谷英夫
Music Videoを中心に、映画やCMなども手がける映像ディレクター。これまで、SPEED、モーニング娘。、広末涼子、いきものがかり、ももいろクローバーZ、ラストアイドルなど、数えきれないほどのMVを手がけてきた。petit miladyとは、デビュー曲「100%サイダーガール」のMVで初タッグを組み、全てのライブ映像作品でもカメラマン兼ディレクターを務めている。
■リリース情報
petit milady(プチミレディ)
5thアルバム『Howling!!』
発売中
初回限定盤A(CD+DVD+グッズ)
¥8,333+税
デジパック仕様 缶バッヂ4個セット&ミニステッカー封入
初回限定盤B(CD+Blu-ray)
¥5,370+税 デジパック仕様
通常盤(CD)
¥3,000+税 POCE-1438 紙ジャケット仕様
<収録楽曲(CD)※全仕様共通>
1. Howling
[作詞・作曲:俊龍 編曲:佐藤清喜]
2. She CAN DROPS☆
[作詞:宮嶋淳子 作曲:金崎真士 編曲:清水武仁]
3. be myself
[作詞:大西洋平 作曲・編曲:坂部剛]
4. A or A!? (feat. リアジュボーン)
[作詞・作曲:宮崎まゆ 編曲:hisakuni]
(TVアニメ 『ありすorありす』 オープニングテーマ)
5. 世界中が恋をする夜 (feat. リアジュボーン)
[作詞:中村彼方 作曲:伊藤賢 編曲:佐藤清喜]
(TVアニメ 『百錬の覇王と聖約の戦乙女』 エンディングテーマ)
6. Color voice
[作詞・作曲・編曲:横関公太]
7. blue cores
[作詞:只野菜摘 作曲:伊藤賢 編曲:佐藤清喜]
8. キミとソラのむこう
[作詞・作曲・編曲:鈴木裕明]
9. 途中までのメロディー
[作詞:大西洋平 作曲・編曲:佐藤清喜]
10. はじまりのうた
[作詞:大西洋平 作曲:松坂康司 編曲:佐藤清喜]
11. Lost my melody (feat. リアジュボーン)
[作詞:RUCCA 作曲・編曲:松坂康司]
12. 360°星のオーケストラ (feat. リアジュボーン)
[作詞・作曲・編曲:hisakuni]
(TVアニメ 『七星のスバル』 オープニングテーマ)
<収録楽曲(DVD) ※初回限定盤Aのみ>
・「Howling」Music Video
・Special Movie「モシモトラベル ~ふたりで函館慰安旅行に行ってみた~」
<収録楽曲(Blu-ray) ※初回限定盤Bのみ>
・「A or A!?」Music Video
・「世界中が恋をする夜」Music Video
・「360°星のオーケストラ」Music Video
・「Howling」Music Video
Blu-ray『弾けろ!プチパリ・ミュージックアワード!』
2019年2月27日(水)発売
Blu-ray(2枚組)¥10,500+税
DISC-1 昼の部収録(全14曲)
DISC-2 夜の部(全15曲)+メイキング映像
<Blu-ray Disc 1 収録内容>
1.ハジマリズム/2. 100%サイダーガール/3. 恋はみるくてぃ/4. 緋ノ糸輪廻ノGEMINI/ 5. Fantastique♥Phantom/6. #彼氏いません/7. Eat or Love??/8. キラリキラリ/9. 世界中が恋をする夜/ 10.360°星のオーケストラ/11.キミと/12.azurite/13.Ma Chérie/14.A or A!?
<Blu-ray Disc 2 収録内容>
1. ハジマリズム/2.A or A!?/3.Ma Chérie/ 4.メドレー [azurite~アップデートの坂道~人魚姫(BPM of the 21st century)]/ 5.鏡のデュアル・イズム/6.キミと/7.100%サイダーガール/8.スキ キライ キライ 大スキ♡/ 9.世界中が恋する夜/10.360°星のオーケストラ/11.#彼氏いません/12.Eat or Love??/ 13.キラリキラリ/14.Fantastique♥Phantom/EN.azurite/メイキング映像
■イベント情報
『5thアルバム「Howling!!」発売記念フリーイベント』
2018年12月22日(土)14:00開演 東京ドームシティ ラクーアガーデンステージ
2019年1月13日(日)13:00開演 あまがさきキューズモール 2F 緑遊広場
『5thアルバム「Howling!!」リリース記念トークイベント』
2018年12月22日(土)アニメイト池袋本店アニメイトホール
2019年1月12日(土)アニメイト横浜店イベントスペース
2019年1月13日(日)アニメイト大阪日本橋店 animate O.N.SQUARE
『Blu-ray「弾けろ!プチパリ・ミュージックアワード!」先行試写&トークイベント』
2019年1月12日(土)13:00開演 イオンシネマみなとみらい
※イベントの参加応募方法はpetit milady公式HPより
■ライブ情報
『petit milady 5th LIVE』
2019年3月3日(日)17:00開場/18:00開演
豊洲PIT スタンディング 7,500円(税込)(ドリンク代別)
※CD『Howling!!』内にチケット最速先行抽選申込シリアル封入
■関連リンク
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1月18日(金)まで