『petit milady オーケストラコンサート~Happy Halloween!観に来てくれたらイタズラするぞ~』
petit miladyの音楽は“新たな一面”を手に入れた 初のオーケストラコンサートを見て
petit miladyが10月27日、東京芸術劇場コンサートホールにて『petit milady オーケストラコンサート~Happy Halloween!観に来てくれたらイタズラするぞ~』を開催した。
petit miladyは、悠木碧と竹達彩奈による声優ユニットで、結成6年目に突入。この日は、活動史上で初のオーケストラコンサートとなり、約60名で編成された東京ニューシティ管弦楽団と、楽曲のオーケストラアレンジ及び当日のピアノパートに大嵜慶子を演奏に迎えた。本稿では、昼夜二部構成となった同公演より、第2部の模様を振り返りたい。
コンサートは、会場のシンボルであるパイプオルガンの演奏から幕を開けた。荘厳さを帯びた旋律は、ハロウィンの夕暮れ時にふさわしく、どこか不穏さすら感じられる。そして演奏後には、petit miladyがハロウィンコスチュームに身を包んで登場。怪しい雰囲気のまま「Black Snow White」を勢い込めて歌いはじめる。なかでも、弦楽器隊による臨場感に満ちたトレモロは、その怪しさを引き立てており、すでにこの日のコンサートに対する期待感が跳ね上げられた。
4曲目「azurite」以降は、「箱庭のヒーロー」「YAYAKOSHI GIRL」を披露。ここからは、各楽曲で使用された楽器について詳しく綴りたい。「azurite」では、1番AメロからBメロまでをピアノが伴奏。主人公の沈んだ心が徐々に揺れ動く様子を静かに歌う。そしてサビ以降は、コンサートマスターも演奏に参加。いずれ訪れる愛する人との“別れ”を知らず、ただ広い青空を目指す儚い歌詞に、バイオリンの音色が色を添えていた。
また「箱庭のヒーロー」は、一曲を通してピアノのみの演奏となり、二人の澄んだ歌声に心を預ける時間となった。1番Aメロでは、悠木が心の奥底から言葉を吐き出すように、気怠く声を発する一方、竹達は一言一言を細々と呟くように紡ぐ。そしてBメロ以降は、歌声に力強さを込めていく。ここでは、メロディの切り替わりごとに、歌声のトーンにメリハリをもたせることで、歌詞に描かれる強さや正義への疑問も、よりリアルに届いてくる。さらに、ポップテイストの「YAYAKOSHI GIRL」では、ギター、ベース、ドラム、ピアノと、ポップスにおけるフォーリズムが演奏の主軸に。終盤には、管弦楽団全体を交え、“YAYAKOSHIダンス”を披露したことも付け加えておきたい。